小川山 屋根岩3峰南稜レモンルート

小川山合宿の2日目。
1日目の様子はこちら。
2日目から参加のカズが加わってこの日は4人になったので、二手に分かれて行動することにしました。
婆さんたちはスラブを登りに妹岩へ行き、僕と黒さんはマルチのルートを登りに屋根岩3峰へ。
屋根岩3峰には有名なマルチのルートが2つありますが、「南稜RCC神奈川ルート」の方は昔登ったので、今回は「南稜レモンルート」を登ることにしました。
のんびり朝ごはんを食べてから出発し、10時頃に取り付きから登攀開始。
「南稜レモンルート」と言えばやはり3ピッチ目の弓状クラックを登りたいので、僕が奇数ピッチを担当することにしました。

「南稜レモンルート」は2ピッチ目と3ピッチ目が5.9なので、グレードの数字だけ見ると、2ピッチ目のスラブも核心の3ピッチ目と同程度の難しさということになります。
2ピッチ目はダイクのトラバースから始まり、クライマーがカンテの向こう側に行くとビレイヤーから全く見えなくなるので、こんな状態で5.9のスラブなんて、果たして黒さんは無事に登れるのだろうかとドキドキしていましたが、順調にスルスルとロープが出ていき、やがてビレイ解除のコールが聞こえました。
そして僕もフォローでトラバースを開始。
カンテを越えて少し登ると、土が詰まった溝状の部分が階段状になっていて、その先の方でビレイしている黒さんの姿が見えました。
その階段状の部分を登れば普通に歩いて黒さんのところまで行けそうでしたが、それだとなんだか簡単過ぎる感じがしました。
トポにはカンテを越えた右の方にボルトが打ってあるように書いてあったので、ボルトを探してみたら、右側のスラブのところにリングボルトが1本打ってあるのを発見。
リングボルトが打ってある辺りのスラブを登るのは結構難しそうに見えましたが、フォローだったので、せっかくだからと思ってスラブを登ったら、しっかり5.9ぐらいの感じでした。

2ピッチ目を上から見たところ。
小川山本にはこのピッチは以下のように書いてあります。
「カンテを跨ぐと、浅いコーナー状のスラブとなるので、これを直上し、チムニー下の木まで。」
フォローだったから何とかスラブを登れましたが、錆び錆びのリングボルトでしかも少し根本が見えている状態なので、リードだったら怖すぎて登れないなと思いました。
昔はスラブを登ってたのかもしれませんが、今は階段状の溝を登れば簡単なので、そっちを登るのが自然な感じがします。

そして楽しみにしていた3ピッチ目の弓状クラック。
今でこそ「南稜レモンルート」と言えばこのクラックですが、初登時はこのクラックを登らずに右のスラブを登っていたみたいで、ピークハントの為に弱点を突いたルートだったそうです。
出だしからしばらくはハンドサイズでグイグイ登って行けますが、途中のちょうどスタンスがあって休めるところからオフウィズスになります。
オフウィズスが始まるところからいきなり難しくて、なかなか出発できませんでしたが、頑張って出発してみたら、逆に後はもうジリジリと進むことしかできません。
カムのセットやクリップが非常に大変でしたが、足は上手くスタックさせられたので、安定したムーブで少しずつ登っていき、そのままテラスに到着して喜びの雄叫びをあげました。
冬の間に瑞浪で修行した成果もあって、昔は使えなかった色んなワイド技術を使って登れたので、本当に嬉しかったです。
それでも体力的にはかなりキツく、テラスに着いた後もしばらくは支点を作ることもできずに、呼吸が落ち着くまで座って休みました。

そしてフォローで登った黒さんも、なんとノーテンでトップアウト。
この後の4ピッチ目はほぼ歩きで、最終ピッチを先行パーティが登っているところだったので、登り終えて下降してくるまでしばらく待ち。
先行のパーティは3峰の西面から「トイストーリー」というロクスノの107号に掲載されていた新しいルートを登ってきたそうです。

最後の5.8のピッチは黒さんにリードで登ってもらいました。
残念ながら最終ピッチのコルからボルトの打ってあるスラブを登るところで、1回フォールしてロープにぶら下がってしまいましたが、下から登り直して無事にトップアウト。

今回は50mのシングルロープだったので、下降は細かくピッチを切って、4回の懸垂下降で取り付きまで。
出発からちょうど4時間ぐらいが経っていて、思ったより時間がかかってしまいましたが、核心の弓状クラックもオンサイトできて大分満足だったので、この日はこれで終了にして帰ることにしました。
先月に引き続きマルチのルートを登りましたが、やっぱりマルチは楽しいです。
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