雲取山


2016年1月25日(月)~1月26日(火)

標高2017メートル、東京都の最高峰である雲取山。
2年前の冬に、Tと2人でこの山の山頂を目指したことがありますが、
あのときは途中から吹雪になってしまったことと、Tの脚の故障もあり、やむなく途中の七ツ石小屋に避難して、
無念の敗退を喫しました。
(詳細は2014年2月の七ツ石山の記録を参照)

あの敗退から2年。
僕は神奈川県山岳連盟の冬山教室に参加して、冬山登山の知識を深め、必要な装備を揃え、
ほんの少しではありますが実際の冬山で経験も積みました。
それらの為に費やしてきたお金や労力は、決して小さいものではありませんが、
それも全て、この雲取山を登る為にやってきたことです。
勿論、他にも登りたい山はたくさんありますが、僕とTにとって、
この雲取山にかける思いは、それほど特別で大きなものになっていたのです。

そして今回、とうとう雲取山へのリベンジの日がやってきました。
今年の冬はなかなか寒くならず、1月の初め頃までは暖かい日が続いていて、雲取山でも全く雪が積もらないままでしたが、
1月18日に東京都心でも雪が降り、雲取山荘周辺で60センチの積雪がありました。
まるで僕らを迎えるように、最高のタイミングで雪化粧をしてくれた雲取山に、もはや愛おしさすら感じます。
勿論今回もTと2人で登ります。

前回は奥多摩の鴨沢から登りましたが、今回はルートを変えて、秩父の三峯神社から登ります。
池袋に7時過ぎに集合して、特急レッドアローで1時間半かけて西武秩父へ行き、
西武秩父からさらに1時間20分ほどバスに乗って、三峯神社へと向かいます。
西武秩父からは、久しぶりに見る武甲山が綺麗でした。



三峯神社までの移動でかなりの時間がかかったので、少し遅めの10時50分にスタート。



登山道に入ると、期待通りの積雪で、否が応にもテンションが上がります。
降雪から一週間経っていることもあり、トレースはしっかり踏み固められていて歩きやすいです。



出発から1時間50分で霧藻ヶ峰に到着。
休憩所がありますが、平日なので閉まっています。



霧藻ヶ峰からは北西方面の眺望が開けていて、正面に両神山が見えます。



霧藻ヶ峰から一旦下って、次の目的地の白岩小屋を目指します。



一旦下ってからの白岩山への登りがかなりの急坂で、なかなかハードなところでした。
足場の狭い鎖場もあり、雪が積もっていて地面が見えないのが怖いです。



霧藻ヶ峰から1時間10分で前白岩山に到着。



前白岩山から少し歩いて、休憩ポイントの白岩小屋に到着。



もう使われていない小屋みたいで、窓も割れていてかなりボロボロです。



とりあえず中に入って一休み。
中もかなり荒れていて、ここに泊まるのは本当の緊急時以外はかなり厳しそうです。



白岩小屋を出てからまた一登りすると白岩山の山頂。
標高1921メートルで、ここが1日目の最高点です。
この山頂標識は登山道から20メートルほど離れたところにあり、既に疲弊し切っていたTはここまで来ませんでした。



白岩山を過ぎてから、芋ノ木ドッケを巻いてトラバース道を通ります。
なかなかの急斜面で、トレースが無かったらちょっと怖そうです。
この辺りから、今回もTの脚が痛み始めたようで、ペースが少し遅くなります。

少しずつ日も暮れ始めて、大ダワに着いたのが17時6分。
白岩小屋から大ダワまで、コースタイムでは1時間10分でしたが、2時間近くかかってしまいました。



大ダワからは男坂を登って30分で雲取山荘に着く予定でしたが、
男坂はトレースが薄くなっていて、膝までのラッセルをしながらの登りとなった為、
ここでも予定時間の2倍の1時間かかって、なんとか雲取山荘に到着。

男坂の登り始めからヘッデンを点けましたが、なかなか雲取山荘に着かず、
「まだか、まだか」という気持ちで登っていたので、着いたと思ったら、今は廃墟となっている雲取ヒュッテの跡だったりとか、
山荘の明かりが見えたと思ったら東京の夜景だったりとか、幾度かの喜びと挫折を繰り返し、
とうとう本物の雲取山荘の明かりが見えたときの喜びはひとしおでした。

到着したのが18時10分で、既に夕食の時間が始まっていたので、部屋に荷物を下ろしてすぐに夕食を食べました。
夕食は、ご飯と味噌汁とハンバーグと少しの野菜という簡単なものでしたが、
今日はもう登らなくていいという安堵感もあり、暖かい味噌汁を飲むと、文字通り生き返るような感じがしました。

月曜日の夜なので、僕らの他にお客さんなんてほとんど居ないものかと思っていましたが、
7人の団体を含めて、僕らの他に9人の宿泊客が居ました。
見てみるとみんな髪の毛の白い高齢者ばかりで、僕らがこんなに辛い思いをして登ってきたのに、
こんな年寄り達が普通に登ってきて小屋で酒を飲んでいるというのには驚きました。

雲取山荘は4~5人で使える小部屋がたくさんあり、僕らの部屋は2人だけの個室でした。
小屋の中は綺麗だし、各部屋にはコタツもあってすごく快適です。



部屋の窓から見える東京の夜景。
木が邪魔であまりよくは見えません。



2日目の朝食。



お世話になった部屋を後にして、山頂に向けて出発します。
ちなみにコタツは豆炭が入っているそうですが、朝になってもまだ暖かでした。



6時半に小屋を出発。
雲取山荘の温度計では、25日の最低気温がマイナス13度で、最高気温はマイナス9度だったそうなので、
多分このときもマイナス10度前後だったのではないかと思いますが、無風だったこともあり、意外に寒さは平気でした。



小屋を出てから30分ほど登って、ついに雲取山の山頂が見えてきました。



そしてとうとう山頂に到着。



ここで初めて僕も写っての記念撮影。



山頂のすぐ脇のところに避難小屋があります。



避難小屋の扉を開けてみたら、宿泊していたらしい人が居ました。
聞いてみたところ昨夜は貸切だったそうです。

小屋の中は綺麗で、少しだけど布団や毛布もあって、ここで泊まるのも楽しそうだなと思いました。
山頂のすぐ近くなので、夜景やご来光を見るには最高の立地です。



山頂からは石尾根を歩いて七ツ石山まで行きます。
この石尾根はずっと歩きたいと思っていた道で、ようやく来ることができました。

防火帯になっているので木が伐採されていて、一面の雪がすごく綺麗です。



しばらくはこの快適な道が続きます。
右側はずっと眺望が開けていて、富士山がよく見えます。



雲取山からの下りと、その先の小雲取山からの下りの斜面はトレースがツルツルになっていて、結構滑ります。
膝が限界に来ていたTはここで何度かスリップして、ここからチェーンスパイクを着けていました。



雲取山頂から1時間半で七ツ石山に到着。
2年前は鴨沢から登ってきてここで敗退したので、ここまで来てようやく、やり残していたことをやり終えた感じがします。



七ツ石小屋に寄って、あのときの小屋番さんがいたら挨拶しようと思いましたが、中に居たのは違う小屋番さんでした。
どうやらあのときの小屋番さんは去年の春に辞めてしまったそうです。



三峯神社からのルートと比べたら、鴨沢へのルートは傾斜がなだらかで、
トレースもしっかり踏み固められていて、夏道と同じようにスタスタと歩けます。

七ツ石小屋を出たのが9時でしたが、12時1分に留浦を出るバスに乗りたかったので、
ペースを上げて歩き、2年前は3時間かかった鴨沢までの道を2時間で歩けました。

その後はバスで行って奥多摩駅まで行き、もえぎの湯で汗を流してから帰途に就きました。
2年越しの目的をついに達成することが出来たという喜びもあり、
温泉のお湯に浸かったときはこれ以上ない快感でした。


今回のルート

1日目
10:50 三峯神社

12:40~13:00 霧藻ヶ峰

14:30 前白岩山

14:52~15:10 白岩小屋

15:58 白岩山

17:06 大ダワ

18:10 雲取山荘


2日目
6:30 雲取山荘

7:00~7:05 雲取山

8:35 七ツ石山

8:55~9:00 七ツ石小屋

11:00 鴨沢バス停

11:10 留浦バス停

一言コメント(100字まで・半角文字のみの文は送信できません)