鳳凰三山
2013年5月24日〜5月25日
山登りを始めて1年が経ち、
日帰りの山歩きでは物足りなさを感じるようになってきました。
一泊での山登りとなると、山小屋に泊まるか、テントで泊まるかということになりますが、
昔、富士山の山小屋でギュウギュウの布団で嫌な思いをしたので、
一人で山小屋に泊まるのは嫌だと思い、思い切ってテント泊をすることにしました。
テント・寝袋・マット等、必要な道具を買い揃え、それらが入る大きなザックも買いました。
一番左のザックが、テント泊の為に買ったザックです。
これが今回持って行く装備。
【ザック】
グレゴリー トリコニ60
【寝具】
モンベル ステラリッジ2人用
モンベル スーパースパイラルダウンハガー#3
サーマレスト リッジレスト ソーライト レギュラーサイズ
【ウェア類】
・上半身
モンベル サンダーパスジャケット
ファイントラック ニュウモラップフーディ
ユニクロ ウルトラライトダウンジャケット
ユニクロ マイクロフリースジャケット
モンベル ジオラインM.W長袖
ファイントラック フラッドラッシュスキンメッシュ半袖
・下半身
モンベル サンダーパスパンツ
ナンガ ポータブルダウンパンツ
ユニクロ ウォームイージーパンツ
モンベル ストレッチO.Dパンツ
モンベル ジオラインL.Wタイツ
・足元
モンベル ウィックロントレッキングソックス
スマートウール PhD アウトドア ミニ
G.T.HAWKINS HL30014 OLGA2
・その他
イスカ ウェザーテックレイングローブ
マーティン マルチシューティンググラブ
モンベル サウスリムハット
ファミリーマートのニット帽
AXE 偏光オーバーグラス SG-605P
【火器・食器】
プリムス P-153ウルトラバーナー
エバニュー チタンマグポット500ストーブセット
スノーピーク トレック900
スノーピーク シェラカップE-103
【アイゼン】
オクトス 10本爪アイゼン ラチェット式
モンベル チェーンスパイク
【その他】
スパッツ イスカ ウェザーテックライトスパッツ
ストック ブラックダイヤモンド ディスタンスFL
ランタン ブラックダイヤモンド オービット
ナイフ ビクトリノックス クラシック
エマージェンシーキット
地図・コンパス
腕時計 カシオ PROTREK PRW-500
カメラ
三脚
携帯ラジオ
防寒着とアイゼンは同行者の分も持っていくので、多めになっています。
これに水と4食分の食料が加わり、全部入れた状態のザックの重さを量ったら14kgありました。
日本アルプスの山々は、7月〜9月が登るには最適な時期とされているそうで、
5月〜6月はまだ残雪期だそうです。
そうは言っても必要な道具が揃ってしまった以上は、早く行きたくなるのが人の気持ちというもので、
比較的積雪量の少ない南アルプスなら、それほど雪も残っていないだろうと思い、
南アルプスの中でも入門者向けの山とされている、鳳凰三山に登ることにしました。
今回は同僚のTと一緒に登ります。
僕が山登りを始めるきっかけになった漫画「岳」のファンという理由だけで今回のパートナーに選ばれたTですが、
ボーイスカウトの経験者らしいので頼りになります。
ちなみに上の写真はTではなく僕です。
鳳凰三山に登るにはたくさんのルートがありますが、
今回は御座石温泉から登ります。
スタートしてから燕頭山まではひたすら登りが続きます。
燕頭山までの標高差は約1000メートルで、普段だったら普通に登れるところですが、
14kgのザックが重くのしかかり、なかなかスピードが出ません。
見晴らしのいい場所からは、八ヶ岳がよく見えます。
先月登った両神山から見たときは真っ白でしたが、雪はほとんど融けたようです。
10時に御座石温泉を出発して、14時15分に燕頭山に到着。
ここまでの標準コースタイムは3時間30分でしたが、
何度も小休止しながら登ったので、大分時間がかかりました。
明日の最初の目的地の地蔵岳が見えます。
地蔵岳の山頂には、オベリスクと呼ばれる巨大な岩塔があるそうですが、
それっぽい出っ張りが見えています。
燕頭山を越えてしばらく歩くと、雪が出てきました。
斜面をトラバースすることが何度もあり、2人ともアイゼンを装着して慎重に登ります。
この辺りから、Tのテンションが大幅にダウン。
「こんなに雪があるなんて聞いていなかった。」
「滑落したら死ぬじゃないですか。」
と、真顔で文句を言い始めます。
ふもとの方は最高気温が30度近い日が続いていたので、
雪なんてほとんど残っていないだろうと思っていましたが、とんだ誤算でした。
道標がこんなに埋まっていました。
17時45分に、今日の宿泊地の鳳凰小屋に到着。
前半の遅れもあった上に、後半は予想外の雪で時間をとられてしまい、予定より2時間以上遅れました。
テント場には僕らの他に5張のテントがありました。
夕飯のラーメンを食べるT。
ちなみにこれが僕らのテントです。
山中で夜を過ごすのも初めてなので、
きれいな星空を楽しみにしていましたが、
満月が眩しいぐらいに明るく、期待していたほどの星は見れませんでした。
結局21時ぐらいに消灯しましたが、
周りのテントから聞こえるいびきや話し声が気になって全く寝付けず。
テントって、防音の効果は全く無いみたいで、周りのテントで小声で話していることも全て聞こえてきます。
誰かがトイレに行く度に足音で起きるし、早く出発する人は2時ぐらいから準備を始めるので、
結局ほとんど眠れないまま朝を迎えました。
次回は耳栓を忘れないようにしようと思いました。
2日目の朝。モーニングコーヒーを飲むT。
テント内の気温は10度ぐらいでしたが、外の気温は3度 。
とても寒いです。
6時15分に出発して、最初の目的地の地蔵岳を目指します。
今日はしょっぱなから雪道です。
地蔵岳のオベリスクが見えてきました。
山頂の直前の部分は砂地の急斜面になっています。ズルズルと滑って歩きにくいです。
Tはオベリスクには登らないというので、
手前の賽の河原で待機してもらって、
僕がオベリスクに登っているところを撮影してもらおうとしましたが、
ここでまたTがグズり始めました。
「あんなの登れるわけないじゃないですか。」
「落ちたらどうするんですか。一緒に居る僕の身にもなって下さい。」
「お願いだから登らないで下さい。」
最初は冗談で言っているのかと思いましたが、どうやら本気で止めようとしているようだったので、
「とりあえず近くまで行って見てくるから!それで登れそうだったらそのまま登ってくるから!」
と、Tの制止を振り切って登ってきました。
てっぺんの右側に立っているのが僕です。
分かりにくいので、ちょっとズーム。
賽の河原からは甲斐駒ヶ岳がよく見えます。
荒々しい山肌がかっこいいです。
賽の河原から少し歩いたところの赤抜沢の頭にて。
ここから見るオベリスクが一番綺麗です。
赤抜沢の頭から西側には、白峰三山が見えます。
右から北岳・間ノ岳・農鳥岳。
北岳は日本で2番目、間ノ岳は4番目に高い山だけあって、雪がたっぷり残っています。
雪を被った美しい山々を見ると、大変だったけど、この時期に登ってよかったなぁと思います。
次の目的地は鳳凰三山の二つめの山、観音岳。
一旦下がってからの登り返しが結構きつそうです。
茂みを突き破って出てくるT。
痛そうな顔です。
12時30分に観音岳の山頂に到着。
ちょうどお昼時だったこともあり、山頂は多くの人で賑わっていました。
朝に鳳凰小屋を出てからここまで、7〜8人ぐらいの団体がずっと僕らの前に居て、
僕らも歩くのは遅いので、その団体を抜かさないようにゆっくり歩いてきました。
オベリスクでもその団体が登って降りてくるのを待っていたりしたせいで、
気がつけば観音岳の到着時刻が予定より2時間半も遅れていました。
予定していたスケジュールでも下山時刻が16時だった為、
これはマズイと思い、ここから先はペースを上げて下山することにしました。
観音岳から薬師岳へ向かう尾根道。
なだらかでとてもいい感じの道です。
この後、鳳凰三山の三つめの山・薬師岳を通りましたが、
時間が無いのでスルー。
薬師岳小屋に到着。
昼食は持ってきていましたが、作って食べるほどの時間の余裕が無いので、
ここでカップラーメンを買って昼食。
薬師岳小屋を出てしばらくすると、また雪道になりました。
Tに、「ここでアイゼンを着けましょう。」と言ったら、
Tが「僕は着けません。一人で着けて下さい。」と言うので、
ムッとして二人ともノーアイゼンで雪の斜面を下りました。
でもツルツル滑って転ぶので、結局二人ともアイゼンを着けました。
この辺りからTとの会話が無くなります。
南御室小屋に到着。
ここのテント場は広くて気持ちよさそうです。
南御室小屋からの道も雪がかなり積もってますが、
なだらかでトレースがしっかりしているので歩きやすいです。
この時点で15時を過ぎていましたが、ゴールまではまだまだ3〜4時間の道のり。
次の目的地の夜叉神峠まで、二人とも無言でひたすら歩き続けます。
18時15分に夜叉神峠を通過。
日暮れまでの時間が迫っているので、ここからはほとんど駆け足です。
18時45分、夜叉神峠登山口に到着。
薄暗くなってはいましたが、日が落ちるまえに無事下山することができました。
なんとか、ホッと一安心というところでしたが、ここからが本当の恐怖の始まりでした。
下山したら、あとはタクシーを呼んで駅まで行くだけのはずだったのですが、
なんと、二人とも携帯電話が圏外。
もちろん、山岳地帯では元々携帯電話がつながりにくいので、そんなときのことも考えてはありました。
登山口のところには入浴・宿泊施設「夜叉神の森」があるので、
万が一のときはそこで電話を借りれば大丈夫と思っていたのですが、
営業期間中の土曜日にも関わらず、何故か休業。
こんな場合、他の登山客がいれば、お願いしてタクシーを呼んでもらったりもできるのですが、
僕らは本日最後の下山者になってしまったようで、お願いできる登山客もおらず。
仕方なく、ヘッドライトを点けて、真っ暗な林道を歩き始めました。
しかし、歩けども歩けども人家の気配はありません。
時たま道の脇から聞こえる「ガサッ」という音や、森の奥から聞こえる鹿の鳴き声に怯えながら、
歩き続けること1時間半。
「芦安温泉郷」の看板を見つけて、狂喜する僕とT。
最初に見つけたペンションに飛び込んで電話を借り、タクシーを呼び、Tとガッチリと固い握手を交わしました。
昨日からの苦労や辛い思いが、全て報われたような、そんな瞬間でした。
夜叉神峠登山口はdocomo以外の携帯電話は圏外のようですので、これから行かれる方はお気をつけ下さい。
(2013.6.24追記)
T側から見た鳳凰三山
今回のルート
1日目
10:00 御座石温泉
↓
14:15〜14:45 燕頭山
↓
17:45 鳳凰小屋
2日目
6:15 鳳凰小屋
↓
8:40〜9:45 地蔵岳
↓
10:00〜10:40 赤抜沢の頭
↓
12:30 観音岳
↓
13:00 薬師岳
↓
13:10〜13:45 薬師岳小屋
↓
15:00〜15:15 南御室小屋
↓
18:15 夜叉神峠
↓
18:45 夜叉神峠登山口