大同心大滝

12月にパキッた右手中指も順調に回復してきていて、2月からジムでのリハビリクライミングを始めてますが、ようやく10台前半は登れるぐらいになってきたので、今月から外でのクライミングも再開することにしました。
そんなわけでかなり久々のクライミングですが、復帰の一発目はなんとアイスクライミングで、黒さんと大同心大滝へ。
黒さんは一週間前にも大同心大滝に行ったそうで、前回はトップロープで登ったそうですが、もう1回やればリードで完登できそうな手応えがあったらしく、アイスのシーズンが終わる前に黒さんの宿題を片付けに行くことになりました。
今シーズンの八ヶ岳はかなり雪が少ないみたいですが、ちょうど前日に南岸低気圧が通ってまとまった降雪があったようです。
赤岳山荘の駐車場で準備をしていたら、アイスをやりに来たっぽいパーティが数パーティ先に出発していき、行き先がかぶらないといいなぁと思ってましたが、みんな南沢の方に行ったみたいで、北沢登山道にはトレースがありませんでした。

赤岳鉱泉で準備を整えて、大同心沢を進んでいくと、正面に小同心が見えてきました。
こんなに遠くからでも小同心クラックがはっきりと見えます。

大同心沢に入ってからは膝ぐらいのラッセルが続き、途中でトップを交代して僕もラッセルしましたが、すぐに疲れてしまったのでほとんど黒さんにトップを歩いてもらいました。
そして赤岳鉱泉を出てから1時間ほど歩いたところで、ついに大同心大滝が見えてきました。
すごく大きくてボリュームのある直瀑で、僕がこれまでに見た氷瀑の中で一番立派な滝です。
僕はまだ南沢大滝すら登れていないので、こんなに垂直部が長い滝は正直言ってまだ全然登れる気がしません。
今回は気分的には黒さんの付き添いの感じで来ましたが、この立派な滝を見れただけでも、今日ここに来れて良かったと思いました。

大同心大滝は三段の構成になっていて、垂直部が長い三段目の滝がメインの登攀対象になります。
三段目は黒さんに登ってもらうつもりだったので、一段目と二段目は僕がリードで登ることにしました。
離れたところから見た感じは、一段目と二段目は傾斜が緩くて簡単そうだと思ってましたが、一段目はロープの流れを考えてちょっと傾斜の強いところから登ったので、出だしから怖くて足がガクガクになりました。
二段目も思っていたよりも大分難しく感じましたが、なんとか登り切って三段目の左端の取り付きの部分に到着。

そしてこの滝の完登の意欲に燃える黒さんが、満を持して登攀を開始。
完登にかなりの可能性を感じている様子だったのと、下部はそんなに難しくなさそうに見えたので、最初のうちは右手でロープを抑えながら左手で写真を撮ったりしてました。

三段目の取り付きは足場があまり良くないので、ちゃんとセルフビレイを取ってビレイをしてましたが、そのせいであまり離れてビレイをすることができないので、ビレイ中に上から落氷がたくさん降ってきます。
目に当たったら危ないので、落氷が来ると思ったら下を向いてヘルメットで受けるようにしていました。
この写真を撮った後で、あの辺りから先はスタンスがなくて難しそうだなと思ってビレイをしてましたが、途中でカラカラ…とパイプが転がるような音が聞こえたので、アックスが落ちてくると思って反射的に下を向いたら、落ちてきたのはなんと黒澤さん本人でした。
突然目の前に黒澤さんがぶら下がっていて、ロープもかなり伸びて少し僕にぶつかるほどだったので、とてもビックリ。
落ちる瞬間を見ていなかったので対処が一瞬遅れてしまい、長い距離を墜落させることになってしまい、危ないところでした。
アイスクライミングのときに目を保護するバイザーがありますが、ビレイヤーこそああいうのを着ける必要があるなと感じました。
そして黒さんが三段目の滝の半分ぐらい登ったところで落ちたので、選手交代することになり、リードで登るつもりはなかった僕が登る羽目になりました。
黒さんが落ちたところまではトップロープ状態でのトライなので、最初のうちは気が楽です。
実際に登り始めてみると、下部の階段状に見えていたところが、氷の形状的にアックスが打ちづらくて難しく、すぐに腕がパンプしてしまい、何度かテンションをかけて休みながら登って、一番上のスクリューのところまで到着。
そこから先はリード状態で登ることになりましたが、そうなった途端に僕の体は完全に恐怖に支配されてしまい、よっぽどしっかりアックスが打てないと全然動けないようになってしまいました。
もう既に腕が大分張ってしまっていて、アックスを振る腕にも力が無く、ピックを深く打ち込むことができません。
数センチ刺さったピックに、外れないように祈りながら体重を掛けて、蹴り込んだ前爪に立ち込んで次のアックスを打ちますが、ただでさえ疲れて力が入らないのに、利き腕でない左手で打ち込んだアックスにぶら下がって右手でスクリューを打つなんて、とても無理な話です。
残った力を振り絞って右手のアックスを深く打ち込み、アックスにテンションを掛けてはスクリューを打ってを繰り返し、極地法のようなスタイルでじりじりと高度を上げていきました。
しかしトップアウトまでもう少しというところで、腕がパンプし過ぎてもうダメになったので、再び黒さんに選手交代し、黒さんにトップアウトしてもらって、トップロープを張ってもらいました。

三段目の左端のところからは滝の裏側を見ることができます。
ビバークできそうな小部屋のようなスペースになっていて、分厚く蒼い氷の壁がとても綺麗です。
最後に僕がトップロープでもう一度登ってみましたが、トップロープならば恐怖で体が動かなくなることはなく、一年前に佐藤勇介さんの講習で教わったことを思い出しなが登りました。
足を開いてアックスをしっかり打つという意識で登りましたが、途中でアイゼンの前爪が不意に外れてヒヤリとしたり、やっぱりまだ垂直の氷を登るのはとても怖いです。

滝の上のトップロープ支点を回収して三段目の取り付きまで降りてから、黒さんが作成したアバラコフでもう1回懸垂して滝の下まで下降。
黒さんはアバラコフを作るのは初めてだそうですが、一発でバッチリ成功させててすごいと思いました。

アバラコフだけで懸垂するのはちょっと怖いですが、後で調べたら最初の人が下降するときだけスクリューでバックアップを取っておくのが良いそうです。
今回は直接ロープを通して下降しましたが、スタックすることもなく回収できて、何も残置せず気分よく帰ることができました。
この頃は暖かい日が続いてて、この日も大分気温が高く、今年のアイスクライミングシーズンはそろそろ終了という雰囲気なので、来年こそはもっと集中してアイスクライミングに行って、たくさん練習して自身をつけたいと思います。
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