加入道山

10日ほど前にいつも通っているボルダリングジムで登っていて、カチでスタートする課題をやろうとしたら、スタートのカチを持って離陸した瞬間に、右手の中指からバチッという音がして何かが壊れたような感じがしました。
その2日後に、近所の12クライマーがやっている接骨院でエコー検査をしてもらったら、腱の部分断裂と腱鞘の部分断裂とのことで、1か月ほど指が曲がらないように固定しておくよう指示されました。
しかも治るまでクライミングは控えるようにとも言われてしまいました。
こないだ瑞浪で登れなかったクラックに来月リベンジするつもりで燃えていたのと、アイスに行く予定もいくつか入っていたのに、とても残念です。
仕方がないので、この冬はクライミングは諦めて冬山にたくさん登りたいと思います。
そんなわけで、この日は体力トレーニングも兼ねて1人で山歩きに行くことにしました。
最近峠越えをやってなかったので、ついでに久々にどこかの峠でも越えてみようかと思い、以前からやりたいと思っていた、道志村から丹沢の峠を越えて箒沢へと行く道を歩いてみることにしました。
道志村はとても辺鄙な場所にあるので、公共交通機関で道志村に行くには、京王線の橋本駅からバスを3本乗り継いで、合計で3時間ほどバスに乗って行かないといけません。
しかもそのバスが平日限定で、この日は年末年始ダイヤでバスは運休。
悩んだ末に、上野原駅から旧秋山村の無生野というところまでバスで行って、そこから道志山稜を越えて道志村に降り、それから丹沢の峠を越えることに決めました。
というわけで、9時34分に無生野のバス停を出発。
旧秋山村も道志村のように三方を山に囲まれた辺鄙な村なので、なんとなくもっと貧しい村を想像していたのですが、意外とお城のような立派な家ばかり建っていてちょっとびっくりしました。

まずは沢沿いの林道を歩いていき、林道の終点から山に入っていきます。
ところどころピンクテープはあるものの、登山道と言えるほどの明瞭な道はなく、人の痕跡を探しながら歩く感じでした。
途中で間違った沢筋に入ってしまいましたが、すぐに間違いに気が付いたので引き返して正しい沢筋に復帰。
正しい道の入り口には、「棚ノ入山直登コース」と書かれた朽ちた看板が落ちていました。
沢沿いにしばらく歩いて行くと、地図にも書かれているケヤキの巨樹が見えてきました。

ケヤキの巨樹を過ぎた辺りから左に進路を変えるはずですが、ここまでと同様に道形は乏しく、ピンクテープも見つかりません。
よくよく辺りを見回したら足元に朽ちた道標が落ちてました。
写真の沢沿いに少し歩いてから左手の尾根に取り付き、人の足跡か大型の獣の足跡か判然としないような跡を辿ってグサグサの急斜面を登り、尾根に上がりました。

最初のピークの棚ノ入山に到着。
林道の終点からここまでの道はあまり歩かれていないようで、自分でルートを探しながら歩くような感じが面白かったです。

さらに20分ほど歩いて赤鞍ヶ岳(朝日山)に到着。
棚ノ入山の山頂標識のところに説明書きがありましたが、この辺りの山の名前は地域ごとの呼び名で好きに呼んでいるそうで、複数の山名が書いてある山が多いです。
旧秋山村ではこの山を赤鞍ヶ岳と呼ぶそうですが、地図で見るとこの山の東側の隣のピークも赤鞍ヶ岳となっています。

赤鞍ヶ岳(朝日山)の山頂から少し歩いたところに、南側の展望が開けた場所がありました。
道志村を挟んだ向こう側には西丹沢の山が壁のように聳え立っています。
こんもりと盛り上がったなだらかな2つのピークの、左側が大室山で右側が加入道山です。

道志村の近くまで降りてきて、正面の山がよく見えるようになってきました。
ちなみに道志村から箒沢に行くための峠は白石峠・馬場峠・犬越路の3つがありますが、今回は大室山~加入道山間の鞍部にある馬場峠を越えます。
この写真の稜線の切れ込んでるところが馬場峠だと思いますが、既に山を1つ登ってきた後なので、これからあの峠を越えるのかと思うと気が重くなってきます。
この時点で時刻は12時40分。
ゴール地点の西丹沢ビジターセンターを17時に出るバスに乗って帰りたいと思っていますが、その為には今回のコースの全区間を標準コースタイムの0.6倍以内で歩かないと間に合いません。
ほぼ計画通りの時間でここまで来れましたが、後半疲れてきてペースが遅くなることを考慮してなかったので、ちょっと心配になってきました。

ネイチャーランドオムというキャンプ場の中に登山口があるようですが、登山口を示す看板が何もなく、しばらくキャンプ場の中をさまよって歩き回りました。
GPSを頼りになんとか登山道に辿り着きましたが、この道も道形は不明瞭で、ところどころにあるピンクテープを探しながら微かな踏み跡を辿って行く感じ。
ピンクテープはわりとたくさんあったので、テープに導かれるように急斜面を登っていったら、予定していた道とは少し違うところを登ってましたが、とりあえず良い感じの尾根に上がることができました。

さらに進んで1035のピークを過ぎると、元々予定していた道とも合流して、より広くて歩きやすい尾根道になりました。

前大室のピークが見えてきました。
ちなみに道志村の馬場の集落から登山道を登ってくるとこのピークに辿り着く為、このピークを馬場峠と呼ぶこともあるとか。
地形によらず、実際に人々が通っていたところが峠だと思うので、僕としてはこのピークが馬場峠の方がしっくりきます。

加入道山の向こうに、この日初めて富士山が見えました。
後は加入道山の山頂を経由して白石峠へ向かいます。
ここからの道は一般登山道なのでよく歩かれていて、とても歩きやすかったです。

峠の向こう側の景色も見えましたが、箒沢の集落はまだここからは見えません。
とりあえず今日のゴール地点の西丹沢ビジターセンター辺りの建物は見えますが、それも遥か遠くに見えます。
果たして僕は2時間後の17時のバスに間に合うのでしょうか。

稜線から登ってきた方を見ると、午前中に越えてきた道志山稜が見えて、山と山の間の谷底には道志村の家並みが見えます。
我ながらよく歩いてきたなと思います。

14時55分に加入道山の山頂を通過。

そして白石峠に到着。
いにしえの峠らしい石碑があります。
古来の峠越えの道では畦ヶ丸の方まで稜線を歩いてから箒沢に降りたそうですが、今回は時間の都合もあるので、近代になって整備されたという沢沿いの道を使ってここから下ります。
この時点で時刻は15時5分。

標準コースタイムだと白石峠から西丹沢ビジターセンターまで2時間15分となっていたので慌てて降りましたが、1時間ちょっとで降りてこれました。
予定通りのバスに乗って帰れそうでホッと一安心。
逆に時間に余裕ができたので、このまま箒沢の集落の辺りまで歩いて、箒沢のシンボルとなっている箒杉を見に行くことにしました。

車道をトボトボ歩いていたら、いつの間にか箒杉を通り過ぎていたみたいで、振り返ってみたら巨大な杉があってビックリしました。

せっかくなので箒杉と一緒に記念撮影。
推定樹齢2000年と言われるだけあって大きな杉です。
昔からこの地のランドマーク的存在であることから、逸話の多い木でもあります。
なんでも武田信玄が小田原攻めのときに犬越路を越えてきて箒沢を通り、この大きな杉を見て驚いたという伝説もあるとかないとか。
そして箒杉のバス停から17時過ぎのバスに乗って帰宅。
無事に早めの時間に帰宅し、家で年越しそばを食べることができました。
今回の峠はAXESQUINさんがやっているClassic Route Hikingという企画の第2回で取り上げられた峠で、いつか行ってみたいと思ってましたが、道志村のアクセスが悪すぎてなかなか実現できずにいました。
なかなかタイトな計画だったので後半はちょっとバタバタしましたが、無事に峠を越えて箒沢まで歩くことができて良かったです。
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