荒沢山~足拍子岳


2025年3月14日(金)~3月15日(土)
去年の2月に足拍子岳に行ったときに、足拍子岳から東へと続く稜線に、コマノカミノ頭というかっこいいピークがあるのが見えました。

あの稜線を歩いたら楽しそうだなと思っていましたが、うちの会の雪山コンビことkwtさんとHSGが、ちょうど足拍子岳からコマノカミノ頭へ縦走する計画を立てているということで、僕もその計画に参加させてもらうことにしました。

当初は2泊3日でコマノカミノ頭の先のシシゴヤノ頭まで縦走する計画でしたが、日程が近づいてくると、どうも3日目の天気予報がかなり悪そうということで、1泊2日の計画に変更。
そしてさらに残念なことに、立案者のkwtさんが仕事の為に参加できなくなってしまい、僕とHSGの2人で荒沢山~足拍子岳を縦走することになりました。

縦走の長さとしては当初の予定よりは大分短くなりましたが、荒沢山~足拍子岳は2014年に登山雑誌「岳人」で、近代登山を代表する日本の100ルートとして発表されたうちの1つで、いつかは行ってみたいと思っていた憧れのルートです。

今回は電車で集合だったので、始発の電車で土樽駅に8時半に集合。
今回のルートは駅から全容を見ることができて、写真の左側のピークが荒沢山、右側の2つのピークの左側が足拍子岳の本峰で、右側が南峰、その間にある吊り尾根が核心となる急峻な雪稜の部分です。
1日目は荒沢山へと緩やかに伸びるカドナミ尾根を登って吊り尾根の手前で幕営し、2日目は足拍子岳の南峰を越えて、その右から土樽駅の方へ伸びる尾根を下ってくる予定です。



土樽駅から林道を歩いて、除雪終了地点からスタート。
去年来たときよりもはるかに雪が多いです。

ここのところ何年も雪の少ない冬が続いていたので、このまま温暖化が進んでどんどん雪は少なくなって、雪山登山もアイスクライミングも、楽しめる時期が短くなっていくのかなぁと思っていましたが、今年の冬はたくさん雪が降ったので、少し安心した部分もあります。
豪雪地帯に住んでいる人は大変だろうとは思いますが。



出だしから取り付く尾根を間違えて若干のタイムロス。
林道まで戻って先へ進むと、林道の上に雪崩のデブリが堆積してました。
既にワカンを装着してしまっていたので、固くてデコボコの激しいデブリの上は歩きづらかったです。



デブリ帯を越えると、カドナミ尾根が見えてきました。



この日は強めの冬型の気圧配置で、ヤマテンの谷川岳の予報では14日はときどき吹雪の予報になっていたので、ある程度の悪天候を覚悟していたのですが、快晴でとても暑かったです。



2時間ほど登って、標高1000を過ぎた辺り。
吊り尾根が大分近くに見えてきて、吊り尾根の中でも特に核心となる「ホソドのコル」もよく見えます。

この辺りまではストックとワカンで快適に登れましたが、ここから先は硬い雪の雪壁登りみたいになるところがあり、ワカンだとキックステップがやりづらかったので、アイゼンに付け替えてアックスを出して登攀。



荒沢山の山頂手前のところで、ちょうどよく雪壁で風を避けられそうな場所があったので、ここを整地してテントを張ることにしました。



13時過ぎにはテント設営完了。
景色も良くて最高のテン場です。
左奥に見える万太郎山も、真ん中の奥の方に見える仙ノ倉山もとてもかっこよくて、どちらも土樽駅から登れる山なので、今度は万太郎山か仙ノ倉山にも登ってみたいと思います。

今回初めて新幹線を使って土樽に来ましたが、自宅から2時間半で土樽まで来れたので、これなら車が無くても全然行けるなと思いました。
今後の行動範囲がちょっと広がったような気がします。



明日通る縦走路と足拍子岳。
土樽側への雪庇の張り出しがすごいです。

この写真よりも右の方を見ると、すぐ近くに高速道路とか駅があって裏山っぽい感じがしますが、この写真だけ見るととてもそんな風には思えない厳つい感じがします。



稜線に出ると風が強いですが、テン場はちょうど風を受けない場所なので、日が出ている間はポカポカの陽気で暖かったです。
暖かすぎてHSGはテントの外で昼寝をしてました。



夕飯はHSGが作ってくれたキムチ鍋を食べて、19時頃には就寝。
寝袋に入って翌日のことを考えると、すごく楽しみな気持ちもあり、緊張するような感じもあって、なかなか寝付けませんでした。



夜通し風の音がうるさくて眠ったり起きたりを繰り返しましたが、まぁまぁしっかり休めて、6時40分にテン場を出発。
高曇りで風は無く、最高の天気です。



出発してすぐにホソドのコルの手前に到着。
他の人の記録を見ると、懸垂に使う木まで怖いクライムダウンをこなすとか、その木までも懸垂するとか書いてあって、真っすぐコルに向って降りるような感じでしたが、歩けるギリギリのところまで行って下を覗き込んでみても、とても木があるところまで降りられる感じではありません。

さてどうしたものかと思って迂回経路を探したところ、向かって左側の方に懸垂で降りているような跡があったので、左側に降りてみることにしました。



降りたところから壁に沿って進み、またクライムダウンが難しい場所が出てきたので、4mほどの短い懸垂。

そのまま先へ進むと広い岩壁の前に出て、岩壁の上の方に、多くの人が支点に使っているトラロープのかかった木がありました。
岩壁の前の木からさらにもう1ピッチの懸垂下降でコルに到着。



コルからの雪壁の登り返しが、垂直なところもあって難しいと聞いていたので、クライミング的にはこの登り返しが核心部になるかと思ってましたが、雪の付き方の問題なのか、大して傾斜はなくて簡単そう。

一応ロープは結んでコンテニュアスで登りました。



コルからの登り返しを終えたところから岩場を振り返る。
岩壁のやや左のところにトラロープが下がってるのが見えますが、あそこまでクライムダウンするのは相当危険な感じがします。



ここからは雪庇の発達した雪稜ゾーンに入ります。
できるだけ雪庇の上に乗らないように、なるべく左側を歩きますが、歩いてきたところを振り返ってみると、思っている以上に雪庇が張り出していてギョッとします。
この写真の左の雪庇などは、一体どういう経緯でこのような形の雪庇が出来上がるのか、とても不思議です。



とても美しい雪稜で、真ん中の辺りにうっすらとトレースが付いてます。
しかしトレースが付いているラインよりも大分左の方にクラックが入っており、おそらく雪庇が崩れるときはこのクラックから崩れると思われるので、クラックの上辺りを歩きました。

今回来る前に他の人の記録をいくつか見ましたが、いくつかの記録で、雪庇の崩落により九死に一生を得たようなことが書かれていたので、雪庇の崩落に備えてここから先はずっとコンテで歩きました。



既に雪庇が一部崩落しているような場所もありました。



大きな雪庇の付いたリッジの左側をトラバース気味に登っていきます。
下ったり登ったりが結構多くて、なかなか緊張感のある場面が続きますが、とりあえずロープを結んでいるというだけで大分安心感はあります。



吊り尾根を渡り終えて、ここからは足拍子岳の山頂へと急登が続きます。
ここから先は尾根が広くなるので、少し登ったところでロープを外して、それぞれのペースで急登を登りました。
ロープを外した後で2mぐらいの垂直に近い雪壁が出てきて、アックスを持ってない方の手がほとんど使えなくて、若干危なかったです。
後でHSGと話したところ、そこの垂壁が今回一番難しかったということで意見が一致しました。



足拍子岳側から見た吊り尾根と荒沢山。
こうやって全体を見渡すと短いようで、実際に距離は1kmぐらいしかないのですが、ここまで来るのに3時間かかりました。
なかなかに手強い雪稜でしたが、今回は天候に恵まれて風がほとんど無かったのが幸いでした。



山頂直下の急な雪壁を登り、10時12分に足拍子岳の山頂に到着。
去年は南尾根から登って途中敗退だったので、今回は無事に登頂できて嬉しいです。

足拍子岳の山頂直下のところは雪崩が起きやすいそうですが、既にブロック雪崩が起きた後のようで、広範囲にわたって地肌がむき出しになっていて、冷蔵庫ぐらいの大きさの雪のブロックがたくさん落ちている箇所がありました。



当初の計画で行く予定だった、コマノカミノ頭方面へと続く稜線。
kwtさん、今回は残念でしたが、また今度計画しましょう!



武能岳と茂倉岳。
そういえば武能岳も山頂まではまだ行ってないからいつか行きたいし、茂倉岳も上の方は真っ白で素敵な感じです。

今回の山行で、行きたい山がまたたくさん増えてしまいました。
また来年の冬が楽しみです。



後は南峰から南尾根を下降するだけですが、南峰の山頂直下の岩場の通過があるので、まだ気が抜けません。



南峰から雪の斜面をクライムダウンできるところまで降りて、懸垂1ピッチで核心の岩場を下降。
写真は下降終了したところから岩場を見上げたものです。

確か去年の2月に敗退したときは、雪が少なくて藪の上に雪が乗っている状態だったので、ここで敗退したような気がしますが、かなり傾斜の強い岩場で、雪がしっかり付いていてもそう簡単には登れなそうな感じです。



後はここから左前方に見えている尾根を歩いて行って、途中から駅の方へ降りていくだけ。
ですが、この急斜面を降りるときに後ろ向きになってガシガシ下っていったら、気が付いたら大分土樽側の方にそれて下ってしまい、100mぐらいトラバースして正しい道に復帰しました。



最後の方はブナの林の中をズボズボ下って行きましたが、結構頻繁に踏み抜きがあり、何度も腿まで埋まってしまい、最後までなかなか大変でした。

13時半頃に土樽駅に到着し、13時49分の越後湯沢行きの電車に乗れて、帰りも新幹線で17時前には帰宅。

今回は当初の計画からは色々と変わりましたが、翌日から強い冬型が続いてしばらくは悪天候の予報なので、結果的には良いタイミングで良いルートを登れて良かったです。
駅の近くの低山とはとても思えない、素晴らしい大冒険でした。


今回のルート


1日目
8:52 土樽駅
↓ 43分
9:35 カドナミ尾根取り付き
↓ 3時間7分
12:42 荒沢山手前の幕営地

2日目
6:40 荒沢山手前の幕営地
↓ 10分
6:50 ホソドのコルの手前
↓ 1時間17分
8:07 ホソドのコルの登り返し終了
↓ 2時間5分
10:12 足拍子岳
↓ 3時間16分
13:28 土樽駅
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