瑞牆山 十一面岩奥壁 Joyful moment
TK2と瑞牆山の「Joyful moment」を登ってきました。
思い返せば、TK2と初めて一緒にクライミングに行ったのは、今から4年前の2020年の11月。
最初の頃は「クラックは絶対にやらない。」と言っていたTK2でしたが、一緒にクライミングをやっているうちにTK2も少しずつクラックに興味を持ち始めたようで、2022年の6月に初めてトップロープでクラックを登りました。
それ以降はたまにでしたが、それでもちゃんと継続して定期的にクラックに触り続け、今年の夏には集中してクラックの修行に励んで5.9のルートのオンサイトを成功させるまでになり、そしてとうとう今回、満を持して2人で瑞牆のマルチに挑むことになったのです。
「Joyful moment」は5.9の5ピッチのマルチで、瑞牆のマルチとしてはおそらく最も易しい部類だと思いますが、瑞牆山らしい深山幽谷の雰囲気の中で、厳かに佇む大岩壁を前にすると、なんとなくクライマーとして襟を正すような気持ちになります。
僕は2年前に会の先輩の山さんと一緒にこのルートを登ろうと計画したことがありましたが、天候不良で計画が流れ、その2か月後に山さんは剱岳で帰らぬ人となってしまいました。
その山さんの遺品のカムを受け継いだのがTK2なので、それからクラックの経験を積んだTK2とこのルートを登りに来たということに、何か運命的なものを感じます。
「Joyful moment」のピッチごとのグレードは、1ピッチ目から5.9、5.6、5.9、5.8、5.7となっています。
数字だけ見ると奇数ピッチが難しいように見えますが、4ピッチ目の5.8がワイドで、慣れていない人にはそこが難しいらしいので、僕が偶数ピッチを担当することにしました。
TK2としては、初めてのクラックのマルチで、朝イチから5.9のオンサイトを連続で成功させないといけないという厳しい状況ですが、仲間の思いも背負って、この日のTK2は気合い十分。
1ピッチ目の左上クラックを問題なく突破していきました。
2ピッチ目(5.6)は簡単なところを四つん這いでトラバース。
3ピッチ目(5.9)は40mもの長いピッチで、TK2がリード。
しっかりプロテクションをセットしながらの安定したクライミングで突破し、見事に5.9の連続オンサイトに成功しました。
そして4ピッチ目(5.8)をフォローで登るTK2。
奥の方にハンドジャムがバッチリ効くので、そんなにワイドワイドした感じではありませんが、背中をムニムニさせて動いたり、後ろの足はヒール&トゥが使えたりして、楽しいピッチでした。
4ピッチ目を登ったところに、ビレイ用の古いリングボルトがありましたが、カムで支点を構築。
こういうところで古いリングボルトが残っていると、沢登りとかで結構奥の方で堰堤が出てきたときみたいな、少し残念な気持ちになります。
僕らの後から登ってきたパーティが、途中からすぐ後ろにずっと付いていて、登るのがやたら速いなぁと思っていたら、このルートの名付け親のガイドさんのパーティでした。
最後は5.7の短いハンドクラックを登って頂上へ。
意外とここの一歩目がやや気持ち悪い。
無事に登頂して岩のてっぺんに立ったら、目の前に十一面岩正面壁が見えました。
TK2にとっては初めての瑞牆のマルチだったり、山さんと約束していたルートだったり、色んな思いが込もった今日のクライミングだったので、無事にチームオンサイトできて、とてもホッとしています。
十一面岩には登りたいマルチがたくさんありますが、以前はもっと遠い目標だと思っていたいくつかのルートも、もうそろそろ手が届くところに来ているような気がするので、チャンスがあればどんどん登っていきたいです。
そしていつかはやっぱり「ベルジュエール」を登って、あの岩のてっぺんに立ちたいと思います。
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