中川川 マスキ嵐沢
職場の同僚の登山女子のおスギと沢登りに行ってきました。
おスギは初めての沢登りということなので、行程が短く初心者向けの沢の中でも、特に美渓として知られる西丹沢のマスキ嵐沢へ。
小田急線の新松田から1時間ほどバスに乗って行きますが、朝方からポツポツと降っていた雨が、バスが丹沢湖に近づく頃にはザーザー降りになりました。
無事に出発できるのかが危ぶまれるほどでしたが、登山口の大滝橋バス停でバスを降りると、ちょうどよく雨が止んでいて、ホッと一安心。
写真は丹沢湖の手前辺りから見えた、建設中の新東名高速道路の巨大な橋。
こういう巨大な橋の建設現場を初めて見たので、とても驚きました。
バス停から30分ほど歩いて、登山道にマスキ嵐沢の看板が出てきたところで装備を整えて入渓。
入渓してすぐに出てくる最初の小滝。
昨日は30ミリぐらいの雨が降ったみたいだったので、沢が増水していないか心配でしたが、どうやら大丈夫そうな感じです。
この滝は左側を登れば難しくはありませんが、おスギの登攀力が完全に未知数だったので、念のためロープを着けて肩がらみで確保しました。
どうやらおスギはそこそこ登れそうなので、以降の滝は簡単なところはロープなしで登ることにしましたが、早速次の滝の登攀中に滑落して水没。
この写真を撮った直後に、足が滑って落ち、そのまま滝壺に沈んでいきました。
滝壺が思ったよりも深く、一瞬完全に沈んでしまったので心配しましたが、特にどこも怪我はなく、そのまま立ち上がってきました。
マスキ嵐沢は噂に聞く通りの綺麗な沢です。
西丹沢の沢は花崗岩が多いので、奥秩父の笛吹川流域に似ている感じで、明るく輝くナメと快適に登れる小滝が交互に現れます。
やはり人気のある沢のようで、僕らの後ろには単独の人が1名と、その後ろにもう1パーティが居たので、適当なところで待って先に行ってもらいました。
この沢で一番大きな2段15mの滝。
1段目は簡単なのでそのまま登り、2段目はロープを結んで登りました。
水流を浴びながらも頑張って2段目の滝を登るおスギ。
ちなみに今回初心者のおスギを連れて沢を登るにあたって、せっかく僕の他にも人が居るのにフリーソロで登るのも何だかなと思い、大きな滝の登攀の時はおスギにブレーキアシスト付きのビレイ器でも持たせようかと思って持ってきてましたが、結局中間支点を採るところがなかったので、ロープを結んではいましたが、僕は全ての滝をフリーソロで登りました。
さらに次の7m滝を登るおスギ。
だんだん滝の登攀にも慣れてきたみたいで、最初の頃よりは余裕そうでした。
しかし新品のフェルトソールの靴があまりしっくりこない様子で、ソールを見てみたら、消しゴムのカスが出るような感じでフェルトが削れていました。
ちなみに僕は今回初めてラバーソールの沢靴で来ましたが、マスキ嵐沢の花崗岩のスラブには相性バッチリで、とても快適でした。
その後は5m位の小滝をいくつか越えて、880の二俣を右へ進み、最後の滝となる5mと10mの涸滝を登ります。
最後の10m涸滝。
「丹沢の谷200ルート」の遡行図だと、ここまでの滝は全てⅢ級で、この滝だけⅣ-になっているので、これがこの沢の最難の滝のようです。
この滝だけは残置ハーケンがいくつかあり、ビレイ点のボルトも打ってありました。
僕は滝を直登しましたが、すぐ右のザレたルンゼを登れば簡単に巻けるので、おスギは巻き。
この後は水が無くなり、後はツメだけなので、適当なところで靴を履き替えて、ついでに装備を外してハーネスも外しました。
このときの判断が、ほんの数十分後の僕らの命運を左右することになるとは、このときは思いもよりませんでした。
最後の涸滝を過ぎて歩いていくと、やがて稜線が見えてきました。
この写真の沢筋をそのまま詰めていけばよかったみたいです。
ですがこの1本右の沢筋の方が歩きやすそうに見えたので、こっちの方を詰めていきました。
途中までは快適に登れましたが、稜線に出る手前の急なところがガラガラの浮石だらけの急斜面で、登るにつれてだんだん岩も脆くなってきて危険な感じになってきました。
そして傾斜がどんどん急になり、ついにおスギが登れない箇所が出てきてしまいました。
僕が先に登って上からおスギを確保できればよかったのですが、ハーネスを外してしまっていたのでそれもできず、稜線に出る前にハーネスを外してしまったことを後悔。
仕方なく僕だけ横の尾根の側壁を登って尾根上に上がり、おスギには安全なところまで下ってもらって、ハーネスとロープをおスギに投げ、僕ももう一度ギアを装着。
立木を支点にして折り返しのボディビレイにして、僕の体重をカウンターウェイトにした1:1の引き上げシステムでおスギに側壁を登ってもらい、無事におスギも尾根上に上がれました。
危険地帯を脱出して笑顔のおスギ。
後はそのまま尾根を登っていけば登山道へ出られるはずです。
後でおスギに聞いたら、このときのガレた急斜面の下りが、この日の行程で最も死を近くに感じたと言ってました。
登山道に出てから少し登って、権現山の山頂に到着。
大分マイナーな山のようで、山頂標識すらなく、山頂にある白い大きな木にペンキで標高が書いてあるだけでした。
権現山の山頂から見える丹沢湖方面の景色。
出発前はザーザー降りの雨だったので不安でしたが、出発してからは一度も雨に降られず、良い天気になって良かったです。
下りは権現山の南西尾根を下降し、登山口から「ぶなの湯」まで歩いて温泉に入って帰宅。
南西尾根は一般登山道ではありませんが踏み跡は明瞭で、尾根が分かれるところにはちゃんと目印のテープが貼ってあり、歩きやすい尾根でした。
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