滝川 豆焼沢
今月2回目の会山行で、奥秩父の豆焼沢を遡行してきました。
月稜会ではこれまで会山行の日は、同じ日に岩登り組と沢登り組で別々に行動してましたが、今月から新たな試みとして岩と沢で別の日程で会山行を行うことになったので、いつの間にかすっかり岩の人というイメージが定着してしまった僕も沢登りに参加できるようになりました。
そんなわけで、僕としては5年ぶりに会山行での沢登り。
豆焼沢は雁坂嶺を源頭として滝川に流れ込む沢で、短い距離の中に多くの滝を持つ美渓として人気の沢です。
今回は塩Gリーダーのもと、総勢7名もの大所帯で行くので、出会いの丘の裏からトオの滝の手前までは作業道を歩いて、下部はショートカットします。
1時間ほど山道を歩いたところで沢床に降りて、ここから装備を整えて入渓。
少し歩くとすぐに2連になったトオの滝が出てきます。
登っているのはアリさん。
月稜会では僕よりも大分先輩ですが、沢登り専門の人なので、一緒に行くのは今回が初めてです。
トオの滝の上段。
右岸を巻き気味に登ります。
2段ともセカンド以降はタイブロックを使って登りましたが、全員がトオの滝を登り終えるのに1時間近くかかりました。
さすがに7人もいると滝の通過に時間がかかります。
トオの滝を過ぎるとしばらく穏やかな渓相となり、日当たりが良く、明るくて気持ちいいです。
左右両岸から枝沢が入り込む「十文字の場」というところを通過し、次のツバクラ滝を目指して進みます。
ツバクラ滝。
ここからしばらくは5mぐらいの登れる小滝が連続して、楽しいところでした。
12mのスダレ状の滝。
これは難しそうなので左のルンゼを登りましたが、そこもかなり急だったので、一応ロープを使って登攀。
そこから大滝まではまた小さな滝が続き、どの滝もトップのアリさんがまず直登を試みます。
微妙に難しい滝はちょっと巻いて、懸垂下降で沢に戻ったり。
沢登りではこういう短い懸垂をよくやるので、沢ヤの塩Gとアリさんは登攀用の30mロープとは別に短いロープをハーネスに着けて携行してました。
4段50mの大滝に到着。
とても迫力のある見事な滝でした。
この滝は水量が多いときは登れないそうですが、今日みたいに真ん中のカンテが出ているときなら登れるそうです。
遡行図によると登攀のグレードはⅣ級+だそうで、塩Gとアリさんは登ったことがあるそうですが、まず1段目だけ見ても、プロテクションが取れそうなところが見つかりません。
仮に1段目を登れたとしても、そこから先でダメだった場合の敗退方法の見当もつかず、僕にはとても取り付けないと思いました。
しかしやっぱり僕もクライマーの端くれとして、それが登れるものなら登ってみたいという思いはあります。
今回は諦めるにしても、次にここに来るときは、薄いプロテクションをたくさん持ってきて、この滝にトライしてみたいです。
今回は少し手前の右岸側から高巻きしました。
大滝を過ぎた後に出てくるゴルジュの中の2段の滝。
1段目は右壁から。
2段目は僕がリードで登攀。
ゴルジュ登りっぽく両壁に突っ張って水線突破もできそうでしたが、左壁が簡単そうだったので左壁を登りました。
今回登った滝の中ではここが一番難しかったですが、おもしろかったです。
この黒光りする滑りそうなところの1歩がメンタル的な核心。
その後の連瀑帯は、右岸を巻いたり左岸を巻いたり。
綺麗な幅広の15m滝を登ってしばらく歩くと、この沢のハイライトとも言える両門ノ滝が出てきます。
両門ノ滝の右のナメ滝を登ると、その先もナメが長く続いていて、とても綺麗でした。
ナメ滝を過ぎた辺りで時刻は14時を過ぎており、予定よりも大幅に遅れていました。
奥の二俣を左に行くとまた滝が結構出てくるみたいなので、今回は時間短縮の為に右に進むことに。
しかし右俣の方もそんなに簡単ではなく、ゴルジュ内の連瀑で苦戦を強いられます。
午後になって気温が下がってきてゴルジュの中は寒く、おまけに冷たい水のシャワークライミングとなり、他のメンバーの登攀を待っている時間がなかなか辛かったです。
こんな状況でもそーたは相変わらず一人だけ半袖でケロッとしてました。
ゴルジュを出たところで右側の尾根に上がり、そこからは笹の中の獣道を辿りながら登山道を目指して登ります。
そして20分ほど登ったところで登山道に出ました。
もう15時を過ぎていましたが、後は下るだけなので、ここからは想定時間を大幅に超えるようなことはないはず。
無事に明るいうちに下山できそうなので、のんびり休憩してから登山道を川又方面へと歩きます。
下降はワサビ沢を下るのが早いということなので、樺小屋の少し先の辺りから登山道を離れて、ワサビ沢に向けて急斜面を下降していきます。
塩Gの話だと、樺小屋からワサビ沢を下降すれば1時間で降りられるということでしたが、ワサビ沢への下降が思っていたよりも大分歩き辛く、ズルズルと滑る枯れ葉の積もった急斜面が延々と続きます。
ワサビ沢に入ってからもグズグズの急斜面が続き、ところどころ岩っぽいところもあるので、注意しながら降りていきます。
いつまでも気の抜けない下降が続き、ヒロさんは一度ザックに仕舞ったヘルメットをもう一度取り出して被るほどでした。
二俣へもまだ着かないのに時刻は18時を過ぎ、次第にメンバー内でピリついた空気感が漂い始めます。
やがて薄暗くなってきたのでヘッデンを点けましたが、こんなところで真っ暗になってしまったら、ヘッデンの明かりだけで歩くのはかなり厳しいなと思いました。
やがて誰も何も喋らなくなり、黙々と沢を歩き続けていくと、ゴーロ状の明るく開けた河原になりました。
そこが二俣で、左からはワサビ沢の本流が流れてきていました。
二俣から下はとても歩きやすく、足を着くところが固いということがとても幸せに感じました。
そして19時20分頃、無事にゴールの出会いの丘に到着。
ズルズルでグチャグチャの斜面を延々と降りているときはとても不快で、もう二度とワサビ沢には来たくないと思っていましたが、今回僕らが降りた左俣ではなく、右俣の方はゴーロが続いて歩きやすいみたいです。
もしまたワサビ沢を降りることがあったら、次は必ず右俣を歩こうと固く心に誓いました。
今回は豆焼沢の下部をショートカットしましたが、下部もゴルジュがあっておもしろいみたいなので、いつかまた来たいと思います。
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