広河原沢左俣
12月の会山行で広河原沢左俣に行ってきました。
このところ暖かい日が続いていて、この日もなかなか暖かく、前日の深夜に舟山十字路に着いた時の気温は0度。
東京と比べると大分寒いですが、八ヶ岳の登山口で深夜に0度というと、この時期としてはかなり暖かい感じがします。
僕は寒さに弱いので、あまり寒くなくて安心な気持ちもありますが、さすがにこれだけ暖かいと、滝がちゃんと凍っているのか心配になります。
前日の夜になって、「凍ってないかもしれないけど、明日どうしようか。」という話になり、他のルートに変更という案も出ましたが、とりあえず当初の計画通り、広河原沢左俣に行ってみることにしました。
7時に出発して登山口の舟山十字路から林道を歩き始めましたが、全く雪が無く、秋山のような景色。
40分ほど歩いたところで林道が途切れ、そこから沢筋を対岸に渡りましたが、その辺りからようやく雪が出てきました。
二俣を通過して左俣に入り、しばらく歩いていたら、中で宴会ができそうな立派な岩小屋がありました。
銀マットの残骸が残っていて、本当に宴会で使われていたような感じがします。
しかも2階と3階にあたる部分にも同じような空洞があり、まさに岩の集合住宅でした。
岩小屋を過ぎるとすぐにF1が見えてきます。
ここから見るとしっかり凍っているように見えますが、登れないみたいで、近くまで見に行った塩Gが引き返してきたので、右岸から巻きます。
巻く途中でF1を見てみたら、滝の氷は薄く、釜は凍ってないので取り付くことができない状態でした。
この滝はこんな状態のことが多いそうです。
F1を過ぎてしばらく歩いたところで、ナメ滝ですが、ようやく登れそうな小滝が出てきました。
気温が高いこともあって、アイゼンの前爪を蹴り込むと小気味よくブスリと刺さり、ザクザク登れて気持ち良かったです。
さらに進むと、奥の方まで続く見事な氷の回廊。
当初の不安はどこかへ吹っ飛び、この先へ進んでいけば氷瀑が続いているに違いないという期待に胸が高鳴ります。
しかし次の滝も釜が凍っておらず、右岸から巻き。
5mほどの短い滝ですが、ようやく本格的な氷瀑の登攀ができそうな滝が出てきました。
傾斜が強く、氷が薄いので、ここで初めてロープを使用。
アイスのルートは初めてというそーたですが、真新しいノミックをガシガシ打ち込んで楽しそうでした。
その次に出てきたそこそこ高さのある滝。
一応ここもロープを出しましたが、このぐらいならフリーソロで登れるぜと思って、僕は1人で右側から登ろうとしましたが、右側の方は水飛沫がすごくてシャワークライミングのようで、ずぶ濡れになってしまったので、おとなしく1回降りて左側から登りました。
その後も登れる滝が連続します。
そーたも慣れてきたようで、先頭でガンガン登っていきます。
10mぐらいの立派な滝が出てきました。
この沢には「下の大滝」と「上の大滝」と呼ばれる2つの大滝があるそうなので、これが下の大滝かと思い、気合いを入れてリードで登りましたが、登ってみると階段状で簡単でした。
真ん中あたりまで登ったところで、その先も簡単そうだからそのまま登っちゃおうかなと思い、どうしようか悩んでいたら、僕の心を見透かしたカトさんから「スクリュー打つのも練習!」と言われ、グルグルとスクリューを捻じ込みました。
実際この後の大滝の登攀で、登りながらスクリューを打つのが難しくて苦労することになるのですが、簡単なところでスクリューを打つのとは感じが全然違うので、練習するのもなかなか難しいです。
6mのチョックストーン滝は凍っておらず、左岸からチョックストーンの隙間を登りました。
そして本日のラスボス、15mの大滝に到着。
氷瀑の形も整っていて、両側が岩壁でとてもかっこいい滝です。
カトさんが滝を見て「2人同時に登るには狭いなぁ」と言ってましたが、どうしてもここはリードで登りたかったので、「右と左で1人ずつ登れますよね?僕もリードで登りたいので、僕は左の方を登ります!」と言い放ち、僕もリードで登攀を開始。
カトさんはあっという間に登り終えてしまいましたが、僕はと言うと、意気揚々と左側を登り始めたものの、途中から思ったよりも傾斜が強くて、スタンスが良いところでスクリューを打とうとしましたが、つらら状の氷でなかなかスクリューを打てるところがなく、色々やっているうちに腕が疲れてきてしまいました。
そうなってくるともう恐怖感が強くなってきてしまい、できるだけ簡単な方へと登って行ったら、結局少しずつ右に寄っていくことになり、最終的に一番右のところからトップアウトしました。
やっぱり登りながらスクリューを打つのが難しくて、上手く打てないと焦りが出てきて、とても冷静ではいられなくなってしまいます。
今回はノーテンで登れて嬉しいですが、アックステンションはすぐかけられるように準備しておこうと思いました。
登ったときはこれが上の大滝だと思っていたので、核心の2つの大滝をリードで登れたと思って喜んでましたが、帰宅してから他の人の記録を色々見てみたら、どうやらこの滝が下の大滝で、もっと上の方に上の大滝があるようです。
ただ上の大滝の方は垂直でもっと難しく、下までつながってないことも多いようなので、もしこの日にその滝まで行っていたとしても、難易度的にも状況的にも多分登れなかったと思います。
フリークライミングの場合にショートルートで練習してからマルチピッチにチャレンジするのと同じように、アイスクライミングでもまずはゲレンデでもっと練習していかないとダメだと思いました。
大滝をフォローで登るそーた。
僕が打ったスクリューを全て回収しながらノーテンで登ってきました。
大滝を越えると広々とした場所に出ます。
奥の方にまだ滝が続いているのが見えますが、大滝も登り終えたことだし、ここで遡行終了にしました。
下降は中央稜を使うので、中央稜に向けて斜面をトラバース気味に登っていきます。
相変わらずカトさんが1人でガシガシラッセルしながら先に行ってしまうので、みんなでカトさんの足跡を追いかけます。
10分ちょっとで中央稜に出ました。
立場岳の向こうに権現岳や編笠山が見えます。
中央稜は普通の登山道のように明瞭な道でしたが、地面が固くてツルツル滑り、みんな何度か転びながら下降しました。
しかし50分ちょっとで二俣に着き、そこから40分で舟山十字路と、下降を始めてからたったの1時間半で駐車場まで降りられました。
今回は上の大滝を登ることはできませんでしたが、もっとアイスの練習をしていつかまた上まで登りに来たいです。
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