剱岳 八ツ峰 Ⅵ峰Cフェース~上半
TK2と剱岳の八ツ峰を登ってきました。
今回の山行は、ちょうど1年前の7月に八ツ峰に散った仲間の弔いの為のもので、僕らの他にも2パーティの仲間たちが、総勢7人で八ツ峰や別山尾根から剱岳の頂を目指します。
贅沢に小屋泊なので、1日目は室堂から剣山荘までの3時間ちょっとの道をのんびりハイキング。
雷鳥沢キャンプ場から別山乗越までは、室堂乗越を経由して行く道を歩きました。
雷鳥坂よりも少し遠回りにはなりますが、勾配が緩やかで歩きやすい道でした。
別山乗越から剱澤小屋の方へ行き、山岳警備隊の詰所で雪溪の最新情報を確認。
前は雪溪の状況が書かれたホワイトボードがありましたが、ボードは撤去されたらしく、その場に居た警備隊の人から話を聞きました。
長次郎谷は2箇所ほど穴があるが、少し右岸に乗れば問題なく通過できるとのことなので、安心して剣山荘へと向かいます。
13時過ぎに剣山荘に到着。
幸いにも山小屋はそれほど混んでなかったみたいで、僕らは4人と3人でそれぞれ個室。
夕飯の時間まで暇でしたが、僕は昨夜どういうわけか一睡もできず、もう目を開けているのも辛い状態だったので、シャワーを浴びた後は1人で部屋で眠って過ごしました。
目が覚めてからは酷い頭痛に悩まされ、食欲もあまりありませんでしたが、明日は長丁場なので、出された分の食事は頑張って腹に詰め込み、食べ終えたらまたすぐ就寝。
2日目は2時に起きて、3時に小屋を出発。
一晩眠ったら頭痛はすっかり治まりました。
雪溪に穴が空いてるところが心配だったので、途中まではchimneyさんパーティと共に行動することにして、まずは剣沢雪溪を下って長次郎谷出合を目指します。
長次郎谷出合に到着。
ここまで先行していたガイドのパーティがここで休憩していました。
ガイドのパーティは3人だったので、この先で登るルートが被って待つことになったらちょっと嫌だなと思い、僕らは休憩をとらずに頑張って抜き去ります。
出合からすぐのところに穴が空いてたので、右岸側の岩に乗って通過。
出合からは長次郎谷をひたすら詰めていきますが、TK2の体調がイマイチのようで、登りに入ってから元気がありません。
仕方なくここはゆっくり登り、さっき抜いたガイドのパーティに抜き返されることになりましたが、後になって、このときガイドの後ろを歩くことになって良かったと思うことになるのでした。
そのまましばらく雪渓を登って行くと、やがてガイドのパーティが右岸の岩の上に上がり、そのまま右岸を登って行きました。
見えている範囲では雪渓はつながっていて問題なく登っていけそうだったので、なんでだろうと不思議に思いましたが、ガイドさんはルートの最新状況を把握しているはずなので、きっとこの先で雪渓が切れているのだろうという話になり、僕らもガイドさんの後をついて右岸に上がることにしました。
ガイドさんが右岸に上がったポイントは雪渓が岩に付いているので普通に歩いて上陸できますが、他のところは雪渓の端が大分融けていて、自分で上陸ポイントを探すのはなかなか難しい感じです。
そのまま右岸をしばらく登っていきましたが、かなり多くの人に歩かれているようで、踏み跡というよりはしっかりした道になってました。
そしてやっぱり雪渓は途中で完全に切れていて、あのまま雪渓を詰めていたら困ったことになるところでした。
さらに登って行くとまた雪渓の上を歩けるようになるので、ここから再び雪渓を登って行きます。
Ⅴ・Ⅵのコルと、Ⅵ峰のフェース群が見えてきました。
chimneyさんパーティはⅤ・Ⅵのコルから、僕らのパーティはⅥ峰のCフェースから登るので、chimneyさんパーティとはこの辺りでお別れ。
Cフェースの取り付きのところまで来ました。
今回は中央のスラブからフェイスを登ってリッジに出る「剣稜会ルート」を登ります。
TK2が奇数ピッチ、僕が偶数ピッチを担当することにして、TK2のリードで登攀開始。
2ピッチ目は凹角からフェイスに出て登ります。
快適にグイグイ登れて楽しいところです。
3ピッチ目も快適なフェイスで、その次の4ピッチ目がこのルートのハイライトのリッジのトラバース。
ここはトポではⅡ級となってましたが、リッジを登るところはスタンスが細かく、アプローチシューズで登るのはちょっと難しかったです。
ここまでのピッチのビレイ点は立派なボルトが打ってありましたが、4ピッチ目は登りすぎてしまったみたいでビレイ点が見つからなかったので、ハイマツで支点をとりました。
この後の5ピッチ目はほとんど歩きで、ここから10mぐらい登って終了。
取り付きから2時間程度でCフェースの頭に到着。
そんなに難しいころはありませんでしたが、どのピッチもしっかりクライミングしている感があって楽しかったです。
ここからは八ツ峰の上半を縦走して、北方稜線から剱岳へと向かいます。
岩だらけでどこがどうなってるのかよく分かりませんが、まずはここからⅦ峰・Ⅷ峰・八ツ峰の頭を越えて、写真の中央に見えているピークの池ノ谷ノ頭を目指します。
去年仲間が亡くなったのがⅦ・Ⅷのコルのところだったので、そこで亡くなった仲間に思いを馳せながら、しばし心の中でむせび泣く。
山さん、ありがとうございました。
これからは山さんの分まで、たくさん山を楽しんでいきたいと思います。
僕らが八ツ峰の頭に到着した頃、ちょうどchimneyさん達のパーティが池ノ谷ノ頭に居るのが見えました。
池ノ谷ノ頭の方から撮ってもらった、八ツ峰の頭に立つ僕とTK2。
そして僕らも池ノ谷ノ頭までやってきました。
登ってきた八ツ峰の方を見ると、Ⅵ峰から八ツ峰の頭までのピークが見えて、我ながらよくこんなところを縦走してきたなと思います。
ここからは北方稜線を登っていきます。
TK2が先頭に立ってバシバシルーファイしてました。
長次郎の頭付近の、有名なお助け紐があるところだそうです。
剱岳の山頂が近づいてきました。
ちょうど剱岳の山頂でchimneyさんパーティに追いつき、皆で記念撮影。
別山尾根から登った塩Gと岳人さんのパーティはもう下りた後でしたが、全員無事に登頂できてよかったです。
山頂からは別山尾根を通って剣山荘まで戻り、16時前ぐらいに小屋に到着して、シャワーを浴びてサッパリ。
山小屋を使っての登山って、楽をしているようで若干の引け目を感じる部分がありましたが、一日中歩き回って汗だくになって降りてきた後でシャワーを浴びれるというのは最高です。
この日は夕飯もご飯をお替わりしてしっかり食べて、逆に食べ過ぎて苦しくなってしまったので、結局夕飯の後は動けなくなってすぐに就寝。
そして3日目の朝。
この日も快晴で嬉しいです。
この日は室堂まで歩いて帰るだけですが、TK2がせっかくだからバリエーションルートの別山北尾根を登りたいと言うので、別山北尾根を登ることにしました。
剱沢キャンプ場の辺りから、ハイマツ帯の中の道を登って尾根に上がっていきます。
ハイマツ帯の後のザレた斜面がなかなか大変でしたが、尾根に上がると別山北尾根の岩稜が始まります。
この辺りからは剱岳がとてもかっこよく見えます。
去年登った源次郎尾根、昨日登った八ツ峰もよく見えて、本当に自分があんなところを登ったんだと、改めて達成感が込み上げてきます。
こんな感じで、登っている間は振り返るといつでも剱岳の絶景が見えて、何度も何度も後ろを振り返りながら登りました。
剣山荘を出てから2時間ちょっとで別山北峰に到着。
別山北尾根自体は特に面白いルートではありませんでしたが、ルート上からの剱岳の景色が最高だったので、登ってよかったと思いました。
後は登山道を歩いて室堂まで帰るだけですが、目的地の室堂は遥か彼方に見えます。
ここからまた雷鳥沢まで下りて、そこから舗装路を登り返して…。
去年も同じ道を歩きましたが、この最後の登り返しが本当に辛く、今回も室堂に着いたときはヘロヘロに疲れていました。
でも3日とも晴れて、無事に八ツ峰を登ることができて、最高に楽しかったです。
この2年で源次郎尾根、八ツ峰と登ることができたので、次に剱岳に来るときはいよいよチンネにチャレンジしたいと思います。
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