長沢背稜(敗退)


2019年11月7日(木)
登山のスタイルの一つに「カモシカ山行」というものがあります。
夜中の真っ暗な時間帯に山の中を歩くことで、長時間の行動を可能にし、通常よりも長い距離を歩くというものだそうです。

以前、テレビでトランスジャパンアルプスレース(TJAR)とか海外のアドベンチャーレースを見たときに、選手達がみんな夜中もほとんど眠らないで行動し続けるのを見て驚いたことがありますが、そういった何日間にも渡るようなレースでは、1日に2〜3時間しか眠らないで夜間に行動するのはもはや当たり前のようです。
確かに睡眠時間を削って1日で2日分の道のりを歩く事ができたら、長距離を縦走するにしてもより少ない日程で歩けることになるので、縦走するときのコースの選択肢が増えて楽しいだろうなと思い、僕もいつかはカモシカ山行をやってみたいと思っていました。

しかし、実際に夜間に歩こうとすると、クマなどの野生動物のことが怖くて、やっぱり夜中に一人で山を歩くなんてできないと思い、結局今まで一度もカモシカ山行をやったことはありませんでした。

そこでどうしたらカモシカ山行をできるか考えましたが、対策は案外すぐに見つかりました。
クマが怖いのは、単純にクマの方が僕よりも強くて凶暴だからなので、カモシカ山行をするときに、クマよりも強い生き物と一緒に行けばよいのです。

というわけで、まーしーと一緒に奥多摩で初めてのカモシカ山行をしてきました。
前日に仕事を終えてからそのまま集合し、深夜の0時ちょうどに奥多摩駅を出発して、長沢背稜を歩いて雲取山を目指します。



奥多摩駅を出発して5分ほど歩いたところで、まだ街中なのに野生のカモシカと遭遇。
僕は山の中でカモシカに遭ったことがありませんでしたが、まさか初めてのカモシカ山行で初めてカモシカに遭遇するとは…。

カモシカ先輩が、「お前もカモシカ山行すんの?がんばれよ!」と言ってくれているような気がしました。



奥多摩三大急登の一つと言われる大休場尾根をなかなか良い調子で登り、1時間半で本仁田山の山頂に到着。



川苔山の山頂はパスして、次の目的地の日向沢の峰を目指します。
この時点で3時ですが、東京の街はまだまだ明るい。



3時45分に日向沢の峰に到着。

途中で暗闇の中に動物の目が光っているのが見えましたが、どこかに逃げていきました。
おそらく鹿だったんだと思いますが、真っ暗な中で目だけがギラギラ光ってこちらを見ているのはかなり怖いです。



4時半に蕎麦粒山に到着。

風が強くなってきてかなり寒い。



5時半に一杯水避難小屋に到着。
2人共前日の朝8時頃に起きて仕事をしてからそのまま来ているので、さすがにそろそろ疲れてきました。

あまりにも眠いので、一杯水避難小屋で少し眠ろうと思って横になりましたが、寒すぎて眠れず。



6時前ぐらいに一杯水避難小屋を出発。
ようやく長い夜が明けて朝日が出てきました。
ヘッドランプで歩くのはやっぱり神経を使うので、明るくなってきて周囲が見渡せるとすごく安心感があります。

途中で何度か強い獣臭を感じて辺りを見回したら鹿が居ました。
このときはもう明るかったからよかったですが、暗闇の中で獣臭を感じたらかなり怖いです。



7時37分に酉谷山避難小屋に到着。

一杯水までは予定通りのタイムで歩けていましたが、ここでちょっと予定のペースよりも遅れ始めてきて、2人とも眠さの限界も近かったので、雲取山まで行くのは諦めてここで少し眠ることにしました。



奥の方に、雲取山からの下山で歩く予定だった石尾根が見えます。
今回は諦めてここから帰りますが、いつかは長沢背稜から石尾根をつなげて歩きたいです。



酉谷山避難小屋のところから降りる道で林道まで降りようと思いましたが、崩落で通行止めになっていたので、仕方なく来た道を戻って引き返します。
一つ手前の七跳山から降りる道も通行止めだった為、さらに戻って一杯水避難小屋のところからヨコスズ尾根を歩いて降りました。

ヨコスズ尾根は長くてなだらかで若干退屈な感じでしたが、淡く色づいた木々がなんだか爽やかでいい感じでした。



12時頃に日原まで降りてきました。

日原は台風19号の影響で唯一の道路が崩落してしまい、しばらく孤立状態が続いていましたが、最近になって人が一人ずつ通れるだけの簡易的な橋が出来たそうです。
まだまだ車は通行できず、バスも動いていないので、奥多摩駅まで道路を歩きます。



ここが日原街道の崩落地点。
実際に見てみるとかなり酷い状態で、復旧までにはまだまだ長い時間がかかりそうです。
日原の集落の人達はかなり大変な暮らしを強いられているんだろうなと思うと、遊びで山歩きに来ただけの僕らがここに居るのは、なんだか後ろめたいような気持ちになります。
日原の皆さん、大変だと思いますが、どうか頑張ってください。



そして14時14分に奥多摩駅に帰ってきました。

途中で少し仮眠をとったとはいえ、仕事が終わってから徹夜での14時間行動はなかなか大変でした。
確かに夜間に歩けば長い距離を歩けますが、最低限の睡眠はちゃんととらないと体が持ちませんね。

予定通りには歩けませんでしたが、初めてのカモシカ山行だったので、色々と初体験づくしで勉強になりました。


今回のルート


0:00 奥多摩駅
↓ 1時間32分
1:32 本仁田山
↓ 1時間28分
3:00 日向沢の峰
↓ 1時間31分
4:31 蕎麦粒山
↓ 57分
5:28〜5:52 一杯水避難小屋
↓ 1時間45分
7:37〜8:31 酉谷山避難小屋
↓ 1時間55分
10:26 一杯水避難小屋
↓ 1時間40分
12:06 酉谷山登山口
↓ 2時間8分
14:14 奥多摩駅
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