川苔谷本谷
2019年7月27日(土)
それにしても今年の梅雨は長くて、いつまで経っても明けません。
6月の下旬から雨ばかりで、岩場に行く予定がことごとく中止になり、こないだ行った北岳バットレスも雨に降られました。
そんなこんなで鬱憤の溜まっていた今日この頃ですが、もうそっちがそう来るなら、ビショビショになりながら登攀してやろうと、滝の登攀を楽しめるという川苔谷本谷に沢登りに行ってきました。
今回の相棒はまっさん。
考えてみれば、沢登りは講習会か会山行以外では、単独で簡単なところに行ったことがあるぐらいなので、純粋に仲間と沢登りを計画して行くというのは今回が初めてです。
川乗橋のバス停から5分ぐらい歩いたところで、ちょうどよくガードレールが切れているところから沢に降りる踏み後があったので、ここから入渓しました。
この日も深夜のうちに土砂降りの雨が降ったみたいで、バスに乗っている間に窓から沢を見たら白く濁っていましたが、濁っていたのは下流の方だけのようで、いざ沢に入ってみたらとても澄んでいました。
かなり水量が多くて、序盤からたびたび胸まで浸かります。
最初のうちはちょっと冷たく感じましたが、慣れてくると結構平気で、むしろワイルドな感じがして楽しいです。
轟々と流れる小滝を見てはしゃぐまっさん。
いい笑顔です。
今回は聖滝と夫婦滝の登攀がメインと考えていたので、それ以外は大して期待してなかったのですが、意外と序盤の小滝の連続が楽しいです。
小滝ゾーンが終わってからは、しばらくの間は退屈なゾーンが続きます。
水道局のホースとか堰堤があったり、人工物が多く出てきてちょっと興醒め。
退屈なゾーンが結構長くてちょっと気持ちがダレてきますが、入渓してから2時間ほど歩いたあたりで、ついに聖滝のゴルジュが現れます。
聖滝はF1からF4まであり、当然全ての滝を登攀するつもりなので、ゴルジュに突入する前にしっかり腹ごしらえをして、いよいよゴルジュに突入します。
最初のF1へは泳いで取り付くので、まずはまっさんがトライ。
ここの釜が思いのほか深くて、まっさんでも足がつかず、滝つぼの流れに巻き込まれて溺れかけます。
僕はまっさんが溺れていることに気がつかずに、動画を撮影しながらぼんやりと眺めてましたが、助けを呼ぶ声が聞こえて、慌ててロープを引っ張って救助しました。
次に僕がトライ。
僕は特に泳ぎに自信があるわけではありませんが、プールではクロールで25mぐらい泳げるので、このぐらいの距離なら何とかなるだろうと思っていましたが、プールと違って壁をキックできないので、スタートから全然進まず。
プールと違ってクロールで泳ぐこともできず、僕は平泳ぎはできないので犬かきで泳ごうとしましたが、水流で戻されて全然進めなくて、しかも足がつかないのが怖くて、何度かトライしましたが、諦めてまっさんにお願いすることにしました。
2人ともすっかり体が冷えてしまったので、一旦水から上がって体勢を立て直し、再度のトライ。
掛け声を上げて気合を入れてから泳ぎ始め、今度は無事に滝のところまで到着したまっさん。
僕は泳ぎのある沢って今回が初めてなので、もうちょっと楽しい感じを想像していましたが、足がつかないところで全然進めなくて、自力では戻ることもできないという状況はとても怖いです。
スイミングスクールにでも通って平泳ぎを習おうかなと思いました。
僕はロープで引っ張ってもらってF1の取り付きまで行き、まっさんがリードでF1を登攀して、ようやくF1を突破。
聖滝に到着してから既に1時間が経っていました。
F1を登るとすぐ先にF2がありますが、F1の登攀ですっかり消耗してしまった僕らは、一目見ただけでF2の登攀を諦め、側壁を登って滝を巻くことにしました。
持ってきていたアブミを出して、残置のリングボルトにアブミを掛けて登りますが、ボルトが本当に必要最小限しか打ってなくて、側壁を登るのも結構怖いです。
上から見たF2。
ここも釜が深そうで、見るからにホールドが無いので取り付きもしませんでしたが、頑張れば登れるらしいです。
側壁を登って滝に戻ると、F4の前に出ます。
豪快な流れのF4を登るまっさん。
ここはわりと簡単に登れました。
後で調べたところによると、F1は昔と比べると簡単になったそうで、F2とF3が核心だそうです。
聖滝F4の先にある小滝。
すごく綺麗な釜でした。
そしてさらに30分ほど遡行して、第二のメインディッシュの夫婦滝に到着。
ここは僕が先にトライ。
この滝も釜が深くて足がつきませんが、右の壁にホールドがあるので壁伝いに滝に近づいていき、水流の右側から登ります。
中間部のところで滝の裏側に2人ぐらい入れる空間があるので、一旦2人でそこに入ります。
ここが中間部の滝の裏側。
スタンスが全然ないので、残置ボルトにアブミを2つかけて登りますが、水流をモロに受けることになり、かなり厳しい登攀になります。
アブミを2つ使った先で、スタンスが何も無くて、次にアブミを掛ける支点も無くて困りましたが、アブミを掛けていたハンガーをスタンスとして使い、何とか突破に成功。
抜け口のチョックストーンを抱きつくようにして抱え込み、水流を受けなくなったところでしばらく休んで呼吸を整え、最後の簡単な部分を慎重に登って、無事にトップアウト。
滝の上に出て両膝をつき、天を仰いで雄叫びを上げました。
フリーのルートを登って雄叫びを上げることもありますが、ああいう喜びの雄叫びとはまた違う、今回は本当にちょっと死ぬかと思ったので、死地を脱出したという解放感から出る長めの雄叫びでした。
それぐらい今回は怖かったです。
滝の上に適当な支点が無かったので、踏ん張れるところを探して、岩角と肩がらみでまっさんをビレイ。
途中でフォールした感触がありましたが、ビレイしてるところからはまっさんの姿が見えず、やがてテンションが抜けたので淵まで行って下を見てみたら、まっさんが中間部の滝の裏側に立ってました。
距離にしたらほんの5mぐらいだと思いますが、滝の音のせいで、お互いにいくら叫んでも何を言っているのか全く聞き取れず、どうしようもないのでクライムダウンして僕も中間部まで戻りました。
まっさんは一度落ちたようですが、ロープが伸びてちょうど中間部のところに足がついた感じだったそうで、幸いなことに怪我はありませんでしたが、もう登るのは無理のようなので降りることにしました。
2人ともかなり体力を消耗していて、ヘロヘロの状態で中間部からさらにクライムダウンしましたが、ちょうどそのときにキャニオニングの団体が15人ぐらいでキャッキャ言いながら滝の上から釜に飛び降りて通過して行きました。
僕は滝の下まで降りてから、釜を泳いで立てるところまで戻ろうとしましたが、ここでまたいくら泳いでも全然進めなくて、かなり必死に泳いで何とか足がつくところまで辿り着きました。
キャニオニングの人達は何も悪いことはしてないのですが、疲れ果てた上に体温が下がりきって歯をガチガチと鳴らす僕らの目の前で、夫婦滝をバックに記念撮影をする彼らに対して、何故か湧き上がってくる激しい憤りを感じながら、まっさんと生還の喜びを分かち合い、少し戻って適当なところから林道に上がって帰りました。
今回の夫婦滝は、正直言って僕らにはまだ早かったです。
僕は登れたとは言っても、残置ボルトでA1しまくって、プロテクションも取れない中でのギリギリの登攀でした。
泳ぎの練習もしないといけないし、もっと簡単な沢から登って少しずつ経験を積んでいかないと危ないな、と思いました。
今回のルート
8:40 川乗橋バス停
↓ 2時間26分
11:06 聖滝
↓ 2時間31分
13:37 聖滝のF4を突破
↓ 30分
14:07 夫婦滝
↓ 1時間23分
15:30頃 夫婦滝を下降
↓ 30分
16:03 夫婦滝の手前から林道へ
↓ 34分
16:37 川乗橋バス停
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