越沢バットレス(セルフレスキュー講習)
3月に石田登山塾のパイセン2人と湯河原に行ったときに、ちょっとした事故がありましたが、
今後の為にも、当事者の3人でセルフレスキューの練習をしておこうという話になりました。
ちょうど3人とも石田登山塾の塾生なわけだし、ここはやっぱり石田さんにお願いして
セルフレスキューの講習をやってもらうのがいいだろうということになり、
奥多摩の越沢バットレスでセルフレスキュー講習を受けることになりました。
今回は、フォローが落ちて怪我をしたときに下に降ろすということに焦点を当てて、その方法をいくつか教わりました。
まずは介助懸垂のやり方。
次に、支点ビレイでセカンドをビレイしている時に、セカンドがフォールして宙づりになった場合に下に降ろす方法。
@ビレイ器にセットされたカラビナをギコギコと動かして、少しずつ降ろす。
Aビレイ器のリリースホールにカラビナを差し込んで持ち上げ、ブレーキを解除する。
Bムンターヒッチでのビレイに切り替える。
上記の3つの方法で、実際に試してみてそれぞれのメリット・デメリットを検証してみましたが、
Bが一番スマートな感じはするものの、ビレイを外す為に一旦フリクションヒッチに荷重を移して、
ビレイ器を外した後にまたフリクションヒッチの荷重を解除するというのがなかなか手間がかかるので、
降ろすスピードは遅いけど咄嗟の状況でもすぐにスタートできて、
しかも絶対にミスをしないという点で@がなかなか良いと思いました。
もちろん降ろす距離にもよりますが。
Aのやり方だと、突然ガーッと出てしまうことがあるのでちょっと怖いですが、
自分側にムンターヒッチを作った上で、スリングを使って
自分の体重でビレイ器のカラビナを持ち上げるようにすると、良い感じにできます。
またBの方法も、要救がわりと元気で、何秒かだけでも荷重を抜ける状態だと、
テンションの移行が不要になるので一気に簡単になります。
そして次に大事なのは降ろした後の話。
降ろしたところが地面だったら、要救の状態に関わらず降ろしてしまえばよいですが、
例えば1ピッチ下のテラスまで降ろすような場合、降ろしたところで要救自身でセルフビレイをとれればいいですが、
要救が意識を失っていてセルフビレイをとれないような場合は、要救だけ降ろしても仕方ないので、
最終手段のカウンターラペルという技を使って一緒に降ります。
ロープワークの練習を一通りやった後は、実践練習。
3人パーティで1ピッチ目を登って、途中でラストが落ちて宙吊りになったところから救助の練習を開始しました。
僕が宙吊りになる役で、パニックになっていて自分での登り返しはできないという設定です。
宙吊りの状態で救助を待つ僕。
僕もパイセン達もみんなそれぞれミスを犯し、
結局僕が下に降りられたのは宙吊りになってから2時間半ほど経った頃でした。
練習だからこその失敗なのかもしれませんが、お互いにあまり会話をせず、
相手の状況の確認とか、これから何をするのかとかを全然確認しないで行動してしまい、
失敗が重なって状況がどんどん悪い方へ進んでいってしまいました。
今回の練習を通して、実際に事故が起きたときに対処していく手順は掴めたので、
とりあえず今回のが練習でよかったです。
また、フォローが落ちたときに、フォローが手持ちのギアで登り返しをできる状態であれば、
それだけで大体のピンチからは脱出できるということが分かりました。
会のロープワーク講習で必ずやる登り返しの練習について、
今までは、トップで懸垂下降をやるような人でなければ練習しても使う機会はないと思っていましたが、
むしろ、フォローで行くのが前提の人でも、登り返しだけはできるようにしておかないといけないと今は思います。
3月に湯河原でパイセンが落ちたとき、もし僕とパイセンしか居ない状況だったら、
どうすればいいのか分からなくて、ただロワーダウンさせることしかできなかったと思いますが、
もし今あのときと同じ状況になったら、まずパイセンの状態を確認した上で、
自信を持って「ロワーダウンで降ろす」という判断をすることができるはずです。
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