旭岳東稜
2019年1月28日(月)~29日(火)
マーシー、まっつんと旭岳東稜に行ってきました。
またまた初めて行くエリアで、今回は八ヶ岳の東面です。
西面の人気のあるエリアとは雰囲気が全然違うみたいで、とても楽しみです。
スタート地点の美しの森駐車場を出発して、しばらくの間は林道歩き。
1時間半ぐらい歩いたところで河原に下りて、堰堤が出てくるようになり、
権現岳や旭岳が見えてきます。
写真だとわかり辛いですが、旭岳東稜の核心部の五段の宮っぽいのも見えます。
左の権現岳東稜の核心のバットレスも見えます。
さらに1時間ほど河原を歩いて、出合小屋に到着。
旭岳東稜を登るには、幕営装備を担いで登って東稜上で幕営して登るパターンと、
出合小屋をベースにして軽装でアタックするパターンがありますが、
今回僕らは出合小屋をベースにして、翌日にアタックします。
出合小屋に不要な荷物をデポして、明日の為にアプローチの偵察に行きます。
一旦上ノ権現沢に入り、沢沿いに少し上ってから、登りやすそうな斜面を登って東稜の稜線に出ました。
明日は東稜の末端からアプローチする予定なので、稜線に出てからは東稜を真っ直ぐ下って、
末端の取り付きの位置を確認。
東稜の末端。
ちょうどツルネ東稜の看板があるところなので分かりやすいです。
アプローチの偵察が終わったので、かなり早い時間ですが1日目の行動はこれで終了。
小屋に薪ストーブがあるので、薪を拾い集めながら小屋に戻ります。
ちなみに出合小屋の中はこんな感じ。
残置されている銀マットがたくさんあり、とても快適です。
早速薪ストーブで薪を燃やします。
小屋の周りにはダケカンバの木がたくさんあるので、
ダケカンバの樹皮を剥がして火口にして、拾ってきた薪に着火。
拾ってきた薪が凍ってたりして湿っているので、薪ストーブで薪を乾かします。
しばらく小屋でのんびりしてから、外の様子を見てみたら雪が降ってました。
そんなに積もりそうはない感じですが、明日のことがちょっと心配です。
その後は特にすることもないので、とりあえず薪ストーブでガンガン燃やします。
火をキープするのが、簡単そうに見えるけどやってみると難しくて、
またやっぱり火遊びって楽しくて、意外に時間が過ぎるのは早く、
薪ストーブで火を燃やしてるだけで退屈することはありませんでした。
結局この日の出合小屋は僕らの貸切で、とても贅沢な空間でした。
1日目に東稜の上を少し歩いてみた感じだと、暗いうちでも問題なく歩けそうだったので、
2日目は暗いうちに出発することにして、3時に起きて4時に小屋を出発。
出発の時点では雪は止んでましたが、思っていたよりも雪が積もっていて、
昨日つけたトレースがほとんど埋まっていました。
この日は冬型の気圧配置で、東面の方は西風の影響はあまりないのかと思っていましたが、
意外に凄まじい強風が吹いている時間もありました。
ちなみに後で赤岳鉱泉のブログを見たら、この日の赤岳鉱泉の最低気温はマイナス15度となってました。
出発から2時間40分ほど歩いて、6時40分頃。
この辺りまでは細い雪稜が続き、ところどころ岩が出ていて真っ直ぐ登れないところがあったので、
右から巻いたり左から巻いたりしましたが、一箇所かなり怖いトラバースがあってヒヤヒヤしました。
ようやく明るくなってきて、周りの景色が見えるようになってきました。
多分、左側に見えている尾根が権現岳東稜で、上の方に見えている黒い岩場がバットレスです。
心配していた強風はこの頃にはすっかり止みましたが、雪がかなり積もっていて、
この辺りから結構大変なラッセルが続きました。
右の方を見ると天狗尾根が見えます。
八ヶ岳の東面のバリエーションルートとしては、天狗尾根が最も簡単と聞いていましたが、
こうして見るととてもそうは思えない、かっこよくて面白そうなルートです。
まだまだ深いラッセルが続きます。
だんだん尾根が広くなって曖昧な感じになってきました。
しばらくのうちはトップを交代して進んでましたが、この辺りから僕は2人のスピードについていけなくなり、
2人から遅れて最後尾を進む形になりました。
体力的なことももちろんあるとは思いますが、明らかに進むスピードに違いがあり、
おそらくラッセルの技術にもかなり差があるのだろうと感じました。
2人が進んだ後を歩いても、何故か深く沈んでしまってなかなか進めないようなこともあり、まだまだコツがよく分かりません。
ラッセルでかなり時間をとられましたが、出発から4時間40分ほど経過して、
8時40分頃、ようやく核心部の五段の宮が見えてきました。
この五段の宮の手前の部分が、草付き混じりの急な雪壁になっていて、
ところどころ木の枝が出ていたのでそれを頼りに登りましたが、結構傾斜が強くて怖いところでした。
五段の宮は左に回り込んで草付きを登ると簡単だそうですが、今回はもちろん岩壁を直登します。
1ピッチ目はまっつんがリードでスタート。
順調にロープを伸ばし、二段目を登るまっつん。
二段目を登ったところでピッチを切り、僕もフォローで登りましたが、
待っている間にすっかり体が冷えてしまい、特に指先が冷えて感覚が鈍くなっていました。
ダブルアックスで登り始めましたが、普通に手でホールドを掴んだ方が登りやすく、
アックスを2つとも肩にかけることもあって、アックスがかなり邪魔になりました。
アックスを使って岩を登るような練習をしたことがないので、
こういうところに来るにはそういう練習もしておいた方がいいなと思いました。
一段目を越えたところで一息ついていたら、突然右手の指先が激しく痛み始め、しばらくうずくまって激痛を耐えました。
取り付きで待っている間に指が冷えて、登ったことで指先の血流が戻って痛んだんだろうなと思っていましたが、
どうやら軽度の凍傷になっていたようで、下山して4日経って、
この記録を書いている今でも右手の薬指の指先がずっと痺れたようになっていて、
指先に絆創膏でも貼っているみたいに感覚が鈍いです。
ちなみに一年前に赤岳主稜に行ったときは、BDのソロイストという厚手のグローブを着けていましたが、
ロープの操作やアックスを握ったりが上手くできなかったので、
今年はこのモンベルの「OutDry アイスクライミンググローブ」に変えてみました。
このグローブは指の部分がモコモコしていなくてロープの操作などはしやすいのですが、
保温力があまりないので、プチ凍傷になってしまったようです。
今後は状況によって使い分けていく必要がありそうです。
そんなこんなで二段目も登り、次のピッチもまっつんがリード。
ここは僕がビレイしましたが、取り付きに居たときと違って、
ザックを降ろしてビレイジャケットを羽織るような余裕がなく、寒さに凍えながらの辛いビレイでした。
次は四段目でピッチを切り、最後の五段目はマーシーがリード。
五段目を越えてそのまま雪稜をロープがいっぱいになるまで登って、ハイマツで支点を作ってました。
その後の頂上までの雪稜は、スタカットで行くほどでもなさそうだったので、コンテで僕がトップで登ります。
雪稜を登ってくる2人。
いよいよここを登れば頂上です。
13時に頂上に到着。
五段の宮を登り始めたのが9時前だったので、大体4時間。結構かかりました。
晴れていて景色がすごく良いですが、風が凄まじく強いです。
後は稜線上をツルネまで歩いて、ツルネの東稜を下ります。
僕はここでシャリバテになってしまい、足が踏ん張れなくなってしまいました。
行動食はポケットに入っていましたが、風がかなり強くて行動食を食べるどころではないので、
そのままゆっくり歩いてツルネまで行き、ツルネ東稜を少し下ったところで残りの行動食を一気食いして回復。
この後はツルネ東稜をひたすら下っていきましたが、上部はやっぱり雪が深くて、
僕は下りでは一度もトップは歩きませんでしたが、トップはラッセルが大変そうでした。
途中で少し支尾根に入ってしまい、正しい尾根に戻るために10数メートルほどルンゼを跨いでトラバースしましたが、
そのまま尾根を下っていったら、僕らのすぐ横で小規模の雪崩が起きました。
多分僕らがルンゼを跨いだのが雪崩のきっかけになった感じで、
積雪直後のこういうときにルンゼに入るのはかなり危険だということを思い知りました。
その後は問題なくツルネ東稜を下って、16時少し前に出合小屋に到着。
後は出合小屋までの昨日歩いてきた道を歩いて、18時頃に美しの森駐車場に到着。
朝に小屋を出発したのは4時過ぎだったので、出発してからちょうど14時間。
これまで経験した中で最も行動時間の長い山行で、途中では辛い思いもしましたが、
とても得るものが多く楽しい山行になりました。
学んだことを次に活かせるようにしていきたいですが、
やっぱりまずは体力作りを頑張らないといけないですね。
追いつけなくてラッセルを代わることができないというのは流石に情けないです。
今回初めての八ヶ岳東面でしたが、昨日の朝に出発してから下山するまで、他の人には誰にも会わず、
西面の賑やかなエリアとは違って、どっぷりと静かな山に浸る感じでとても良かったです。
今回のルート(2日目のみ)
1日目
7:03 美しの森駐車場
↓ 2時間25分
9:28 出合小屋
2日目
4:10 出合小屋
↓ 4時間38分
8:48 五段の宮取り付き
↓ 4時間12分
13:00 旭岳
↓ 44分
13:44 ツルネ
↓ 2時間6分
15:50~16:20 出合小屋
↓ 1時間50分
18:10 美しの森駐車場