谷川岳 西黒尾根
2018年12月10日(月)
会山行で谷川岳の西黒尾根を登ってきました。
ちょうど1年前の会山行は富士山での雪上訓練でした。
あのときは雪が少なくて大した訓練はできず、滑落停止の訓練の為に二軍のレインウェアを着て行ったせいで、
強い風が吹くたびにレインウェアの隙間を通り抜けていき、ものすごく寒い思いをした記憶があります。
今年も年に一度の雪上訓練の時期がやってきたわけですが、去年と同じくらい雪がなく、
谷川岳の天神平スキー場も、一週間前の情報では積雪3センチとなっていたので、
今年は普通にピークハントかなと思っていましたが、ちょうど直前の土日に雪が降りました。
深夜に土合駅に到着してみたら、土合駅の周辺はすっかり雪景色。
今シーズン初めて見る雪に大興奮です。
そして翌朝、7時頃にベースプラザを出発。
西黒尾根を登る梅ちゃん隊と、ロープウェイを使って天神尾根を登る塩崎さん隊に分かれて、
今回は僕は梅ちゃん隊なので西黒尾根の登山口から登り始めます。
気温は多分0度をちょっと下回るぐらいの感じで、思っていたより暖かく快適。
霧氷がきれいでした。
この辺りまでは先行パーティが居たのでトレースがありましたが、
この辺で抜かせてもらって僕らが先頭になったので、トップがラッセルしながら進みました。
先の方に岩場が見えてきたので、岩場の手前でアイゼンを装着。
最初の鎖場のところは、鎖が出ていたので鎖を掴んで登りましたが、
サラサラの雪の下に岩があるので、岩の形が見えず、アイゼンの前爪で立つのが結構怖かったです。
最初の鎖場を過ぎたところで、トップを交代してもらって僕がトップを歩きます。
先頭の赤いアウターが僕です。
トップを歩くと、目の前には誰の足跡もない白い雪が広がっていて、ものすごく贅沢な気分を味わえます。
でもトップで雪を掻き分けながら岩場を登るのはかなり怖いです。
アイゼンで岩場を登るのは去年の赤岳主稜以来ですが、
ロープをつながれてフォローで赤岳主稜を登るよりも怖い感じがしました。
3時間ほど歩いてラクダの背に到着。
正面に見えているのが谷川岳ですが、山頂付近はガスがかかっています。
ラクダの背を過ぎてしばらくすると、さらに雪が深くなってきてラッセルが大変になってきます。
僕にとっては初めての本格的なラッセル。
まさに雪との格闘という感じですが、ラッセルは体力だけでなく技術もやっぱり大事なようで、
みんなのやり方を見ていると、上手い人はとてもテンポよく進んでいました。
中でも圧巻だったのは、みんなから「戦車のよう」と称えられたマーシーのラッセル。
力強い足捌きで、一定のペースを乱さずに深雪の中を突き進む姿は、
三国志で言ったら呂布ぐらいの迫力がありました。
思わず見とれてしまうような綺麗なナイフリッジ。
雪庇が張り出している部分もあるので、風上側の方をリッジから若干離れて進みます。
ここからのラッセルが特に深くて、ものすごく大変でした。
後続を歩いていた、前橋山岳会という会のパーティが追いついてきたので、
ここからは月稜会と前橋山岳会の混成パーティで、みんなで力を合わせてラッセルしながら進みます。
トップの人は疲れるまでラッセルをがんばって、疲れたら横にずれて最後尾に回り、
ロケット鉛筆のようにローテーションしていきます。
一番後ろの人が進むときはほとんど階段状の道が出来上がっているので、すごく楽に歩けます。
場所によって深く沈むところとそうでもないところがあり、
笹が見えているところとか岩があるところは、大体はあまり沈まなくて速く進むことができるようです。
選ぶルートによって進みやすさが大きく変わってくるので、ルートファインディングが大切になります。
後ろを振り返ると、僕らがラッセルしてきた跡がずっと続いています。
進むのにはすごく時間がかかって大変ですが、みんなで頑張る感じがすごく楽しくて、
時間が経つのは速く感じました。
ラクダの背を過ぎてから2時間半ほどで、ようやくザンゲ岩の辺りまで来ました。
この辺りまで来るとようやく深いラッセルからは解放され、だんだん楽になってきます。
なんだかすごい岩があると思って写真を撮っておきましたが、
後でネットで調べたらこれがザンゲ岩だったようです。
ここまで一緒に行動していた前橋山岳会の人達は西黒尾根をピストンするようで、
山頂は諦めてこの辺りで撤退していました。
僕らも予定の時間よりは遅くなっていましたが、
下りは天神平からロープウェイで下りる予定なので、このまま先に進みます。
肩の小屋のところまで上がって、天神尾根と合流。
肩の小屋のところに塩崎さん隊が居て、塩崎さん隊は既にトマの耳に登頂した後でした。
塩崎さん隊がつけてくれたトレースを辿れば山頂へはすぐ行けそうなので、
僕らも山頂まで行くことにします。
そして13時半、出発から6時間30分で山頂に到着。
途中のラッセルが大変だったので予定より30分ほど遅くなりましたが、
後は天神尾根のトレースを辿って天神平へ下りるだけです。
天神尾根は西黒尾根よりも大分雪が少ない感じです。
山頂から天神平までは1時間半ほどでしたが、とても単調な下りで、
6時間半かかった登りよりも下りの方が長く感じる、とメンバーの一人が言っていました。
僕もそう思うぐらい、今日の西黒尾根は楽しかったです。
今回のルート
7:00 谷川岳ベースプラザ
↓ 3時間14分
10:14 ラクダの背
↓ 3時間2分
13:16 肩の小屋
↓ 14分
13:30 トマの耳
↓ 1時間37分
15:07 天神平